FOLFIRI+ベバシズマブ療法の副作用 102回薬剤師国家試験問265

102回薬剤師国家試験 問265
58歳男性。手術不能の直腸がんと診断され、以下に示すレジメンに従った化学療法を施行することとなった。

 

102回薬剤師国家試験問265 FOLFIRI+ベバシズマブ療法の副作用

 

薬剤師による初回面談の際に説明すべき処方薬の副作用として適切なのはどれか。
2つ選びなさい。
1 高血圧
2 ざ瘡様皮疹
3 下痢
4 認知機能障害
5 高血糖

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102回薬剤師国家試験 問265(実務) 解答解説

 

102回薬剤師国家試験問265 FOLFIRI+ベバシズマブ療法の副作用

 

薬剤師による初回面談の際に説明すべき処方薬の副作用として適切なのは、
選択肢1の高血圧と、
選択肢3の下痢である。

 

FOLFIRI FOLFIRI+ベバシズマブ療法の副作用として、
骨髄抑制,下痢,便秘,悪心・嘔吐・食欲不振,口内炎,脱毛,
皮膚や爪の障害・手足症候群,高血圧,たんぱく尿,出血,血栓症,消化管穿孔,
可逆性後白質脳症症候群,創傷治癒遅延,間質性肺炎などがある。

 

高血圧は、ベバシズマブ(アバスチン)に特徴的な副作用である。
ベバシズマブの投与により高血圧があらわれることがあるので、
投与期間中は血圧を定期的に測定し、適切な処置を行うこととされている。
また、ベバシズマブの重大な副作用として、
高血圧性脳症、高血圧性クリーゼがあり、添付文書に以下のの記載がある。
「コントロール不能の高血圧、高血圧性脳症、高血圧性クリーゼがあらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、高血圧性脳症、高血圧性クリーゼが再発するおそれがあるので、このような患者には本剤を再投与しないこと。高血圧の発現率は本剤の用量に相関して上昇する傾向が示唆されている。」

 

以下、他の選択肢について

 

◆ 2 ざ瘡様皮疹について
ざ瘡様皮疹とは、ざ瘡(にきび)のように赤く隆起した皮疹だが、
細菌感染によるものではないものを指す。
ざ瘡様皮疹の副作用がある抗がん剤として、
上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬や、
抗EGFR受容体抗体がある。

 

◆ 4 認知機能障害について
メトトレキサート,オファツムマブ,ブレンツキシマブ ベドチンなどは、
副作用として進行性多巣性白質脳症(PML)を起こすことがある。
進行性多巣性白質脳症の症状として、意識障害,認知障害,麻痺症状、言語障害等があり、
これらの症状が現れた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこととされている。

 

◆ 5 高血糖について
高血糖の副作用がある抗がん剤として、
mTOR阻害剤のエベロリムス(アフィニトール)や,
ニボルマブ(オプジーボ)やペムブロリズマブ(キイトルーダ)などの免疫チェックポイント阻害薬がある。

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