メトトレキサートの作用,核酸代謝,葉酸併用の有用性 106回薬剤師国家試験問223

106回薬剤師国家試験 問222,223
35歳女性。病院を受診したところ関節リウマチと診断され、以下の処方で治療を開始することになった。
(処方1)
メトトレキサートカプセル2mg
9時 1カプセル、21時 1カプセル(1日2カプセル)
毎週 火曜日 1日2回 9時、21時 4日分(投与実日数)

 

(処方2)
メトトレキサートカプセル2mg
1回1カプセル(1日1カプセル)         
毎週 水曜日 1日1回 9時 4日分(投与実日数)

 

(処方3)
葉酸錠5mg 1回1錠(1日1錠)
毎週(    ) 4日分(投与実日数)

 

問222
(    )に入る葉酸錠の服用方法として適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 月曜日 1日1回 朝食後
2 火曜日 1日1回 朝食後
3 水曜日 1日1回 夕食後
4 木曜日 1日1回 夕食後
5 金曜日 1日1回 夕食後

 

 

問223
処方箋を受けた薬剤師は、核酸代謝における処方1、2と処方3を併用することの有用性について実務実習に来ている学生にわかりやすく説明するため、次に示すような図を作成した。この図の説明として正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

1 細胞増殖の際におこるDNA合成において、Aが前駆体として使われる。
2 Bがテトラヒドロ葉酸で、Cがジヒドロ葉酸である。
3 メトトレキサートはCからDの反応を触媒する酵素を阻害する。
4 処方3に含まれる葉酸は、体内でジヒドロ葉酸還元酵素の作用を受けることでCとなり効果を示す。
5 処方3に含まれる葉酸により、メトトレキサートが作用する酵素の活性を増強することが期待される。

 

メトトレキサートの作用,核酸代謝,葉酸併用の有用性 106回薬剤師国家試験問223

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106回薬剤師国家試験 問222 解答解説

 

下記のリンク先を参照
106回問222の解答解説

 

 

106回薬剤師国家試験 問223 解答解説

 

メトトレキサートの作用については下記のリンク先を参照
メトトレキサートの作用機序と葉酸代謝

 

設問の図、および、それに関連するピリミジンヌクレオチドの代謝経路は下記の通り。

 

メトトレキサートの作用,核酸代謝,葉酸併用の有用性 106回薬剤師国家試験問223

 

各選択肢の記述の正誤は下記の通り。

 

◆ 1について
1 〇 細胞増殖の際におこるDNA 合成において、Aが前駆体として使われる。
A=チミジル酸(dTMP)は、(デオキシ)チミジン三リン酸(dTTP)に変換され、DNA合成の基質となる。

 

 

◆ 2について
2 × Bがテトラヒドロ葉酸で、Cがジヒドロ葉酸である。
→ 〇 Bがジヒドロ葉酸(DHF)で、Cがテトラヒドロ葉酸(THF)である。

 

 

◆ 3について
3 × メトトレキサートはCからDの反応を触媒する酵素を阻害する。
→ 〇 メトトレキサートはBからCの反応を触媒する酵素を阻害する。

 

メトトレキサートは、ジヒドロ葉酸還元酵素(ジヒドロ葉酸レダクターゼ:DHFR)を阻害し、ジヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉酸への還元反応を阻止し、活性型葉酸の生成を抑制することで、チミジル酸合成及びプリン合成系を阻害して細胞増殖を抑制する。

 

 

◆ 4,5について
4 〇 処方3に含まれる葉酸は、体内でジヒドロ葉酸還元酵素の作用を受けることでCとなり効果を示す。

 

5 × 処方3に含まれる葉酸により、メトトレキサートが作用する酵素の活性を増強することが期待される。

 

メトトレキサート投与で活性型葉酸の生成が抑制されて生じる副作用を防止するため(葉酸欠乏症を防止するため)、葉酸製剤が投与される。投与された葉酸は、体内でジヒドロ葉酸還元酵素の作用を受けることでテトラヒドロ葉酸となり、さらに代謝されて活性型葉酸となるため、メトトレキサートの副作用の葉酸欠乏症を予防することが期待される。

 

★他サイトさんの解説へのリンク
第106回問222,223(e-RECさん)

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