フルオロウラシル(5-FU)の薬理 作用機序
本ページでは、フルオロウラシル(5-FU)の作用機序について説明しています。
フルオロウラシル(5-FU)は、腫瘍細胞内に取り込まれた後、
ウラシルと同じ経路で代謝を受けて抗腫瘍効果を発揮するプロドラッグである。
◆ 5-フルオロウラシル(5-FU)のチミジル酸シンターゼ阻害作用
フルオロウラシル(5-FU)は、細胞内に取り込まれた後、
代謝を受けて5-フルオロデオキシウリジン5´- 一リン酸(FdUMP)となる。
FdUMPはデオキシウリジン5´- 一リン酸(dUMP)に競合し、
チミジル酸シンターゼ(チミジル酸合成酵素)と共有結合を形成する。
この際、FdUMPはチミジル酸シンターゼのシステイン残基のチオールから求核攻撃を受ける。
さらに、FdUMP はN5,N10メチレンテトラヒドロ葉酸とも共有結合を形成する。
このようにして、FdUMPはチミジル酸シンターゼ,および,メチレンテトラヒドロ葉酸と共有結合を形成して三者複合体となる。
この複合体はウラシルの5位の水素がフッ素に置換されているため安定であり、通常なら起こる水素の引き抜きが起こらず、その先の反応も進まない。
以上により、FdUMPはチミジル酸シンターゼを不可逆的に阻害し、チミジル酸の合成を抑制することにより、DNAの合成を阻害する。
◆ フルオロウラシル(5-FU)のRNA合成阻害作用
フルオロウラシル(5-FU)は、細胞内に取り込まれた後、
代謝を受けて5-フルオロウリジン5´-三リン酸(FUTP)になることもある。
FUTPはウリジン5´-三リン酸(UTP)に競合して合成途中のRNAに組み込まれ、
RNAの合成を阻害する。