108回薬剤師国家試験問108 プロチレリンの化学構造に関する記述
108回薬剤師国家試験 問108
日本薬局方収載医薬品プロチレリンの化学構造に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選びなさい。
1 アは、β−ラクタム環である。
2 イは、芳香族性をもつ。
3 ウは、ピロリジン環である。
4 N 末端は、プロリン残基である。
5 本品は、テトラペプチドである。
108回薬剤師国家試験 問108 解答解説
◆ 1について
1 × アは、β−ラクタム環である。
→ 〇 アは、γ−ラクタム環である。
アは、5員環の環状アミドなので、γ−ラクタム環である。
なお、β−ラクタムとは、4員環の環状アミドである。
ラクタムの詳細については下記のリンク先を参照
ラクタムとは 91回問8e
◆ 2について
2 〇 イは、芳香族性をもつ。
イはイミダゾール環であり、芳香族性を持つ。
環状化合物が芳香族性を示す条件は下記の@〜Bの通り。
@ 環を構成する全ての原子がsp2混成軌道をとり、平面構造である。
A 隣り合う原子のp軌道同士がすべて重なり合う。
B 環が4n+2個(n=0,1,2,3…)のπ電子を有する(ヒュッケル則)。
イミダゾール環を構成する原子の電子配置は下記の通り。
よって、イミダゾールは、環のπ電子が6個であり、
ヒュッケル則を満たすので芳香族性を示す。
◆ 3について
3 〇 ウは、ピロリジン環である。
◆ 4,5について
4 × N末端は、プロリン残基である。
→ 〇 N末端は、グルタミン酸残基である。
5 × 本品は、テトラペプチドである。
→ 〇 本品は、グルタミン酸−ヒスチジン−プロリンのトリペプチドである。
ペプチド鎖において、
N末端とはアミノ基がペプチド結合に使われずに遊離となっている方の末端であり、
C末端とはカルボキシ基がペプチド結合に使われずに遊離となっている方の末端である。
プロチレリンについて、
N末端はグルタミン酸であり、C末端はプロリンである。
N末端のグルタミン酸では、アミノ基と側鎖のカルボキシ基が分子内脱水縮合することにより、環状アミド(ラクタム)を形成している。
C末端のプロリンでは、カルボキシ基がアミドに修飾されている。
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