セフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか 103回薬剤師国家試験問210

103回薬剤師国家試験 問210-211
6歳男児。体重20kg。身長120cm。扁桃炎と診断され、この男児の処方箋を、母親が薬局に持参した(処方1)。

 

セフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか 103回薬剤師国家試験問210

 

セフジニル細粒10%の添付文書には、「通常、小児に対してセフジニルとして1日量9〜18mg(力価)/kgを3回に分割して経口投与する」と記載されている。お薬手帳を確認したところ、男児は鉄欠乏性貧血で溶性ピロリン酸第二鉄を服用していることが判明した(処方2)。

 

セフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか 103回薬剤師国家試験問210

 

問210
セフジニルは鉄イオンに配位し、キレートを形成する。矢印で示したセフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか。1つ選びなさい。

 

セフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか 103回薬剤師国家試験問210

 

 

問211
本症例に対し、薬剤師が行う対応の中で適切なのはどれか。2つ選びなさい。
1 セフジニル細粒10%の投与量について医師に疑義照会する。
2 セフジニル細粒10%からレボフロキサシン水和物製剤への処方変更を医師に提案する。
3 セフジニル細粒10%は鉄剤と一緒に服用するように指導する。
4 症状が途中で改善したら服用を終了するように指導する。
5 尿や便が赤色調を呈することがあると説明する。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題集 医薬品化学 へ

 

103回薬剤師国家試験 問210 解答解説

 

下記のセフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのは、
4のアミドの窒素である。

 

セフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか 103回薬剤師国家試験問210

 

 

電子供与原子として配位結合を形成するためには、電子受容原子に供与可能な非共有電子対を保有していなければならない。
4はアミドの窒素である。
アミドの窒素の非共有電子対は共鳴によりカルボニルとの間で非局在化する。

 

セフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか 103回薬剤師国家試験問210

 

また、アミドの窒素は、隣接するカルボニルの強力な電子求引性誘起効果により電子密度が低下している。

 

セフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか 103回薬剤師国家試験問210

 

以上のことから、
アミドの窒素の非共有電子対は電子受容原子に供与されにくく、配位結合を形成しにくいと考えられる。

 

 

★ β−ラクタムの共鳴についての補足

 

β−ラクタムは小員環の環状アミドであるため、共鳴の様子が鎖状アミドとは異なり、下記のような様相を呈すと考えられている。

 

セフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか 103回薬剤師国家試験問210

 

四員環の結合角ひずみのため、右端のラクチム型の共鳴構造式は比較的にとりにくいと考えられている。

 

 

103回薬剤師国家試験 問211 解答解説

 

下記のリンク先を参照
103回問211の解答解説

 

 

★他サイトさんの解説へのリンク
103回問210,211(e-RECさん)

トップへ戻る