カペシタビンの代謝経路 109回薬剤師国家試験問213
109回薬剤師国家試験 問213
カペシタビンは、段階的にフルオロウラシルに代謝されるプロドラッグである。体内におけるカペシタビンの代謝を示した下図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 カペシタビンの点線で囲った構造は、分子の疎水性を高める。
2 Aは二酸化炭素(CO2)である。
3 Bの糖部はD−リボースである。
4 Cの点線で囲った酸素原子は、水に溶けている酸素分子(O2)に由来する。
109回薬剤師国家試験 問213 解答解説
◆ 1,2について
1 〇 カペシタビンの点線で囲った構造は、分子の疎水性を高める。
2 〇 Aは二酸化炭素(CO2)である。
カペシタビンは、肝臓のカルボキシルエステラーゼにより、
エステルとアミドが加水分解され、Bが生成するが、点線で囲った構造より、AはCO2だと考えられる。
◆ 3について
3 × Bの糖部はD−リボースである。
→ 〇 Bの糖部は5´−デオキシ−D−リボースである。
Bの糖部は5位のヒドロキシ基がないため、
5´−デオキシ−D−リボースである。
◆ 4について
4 × Cの点線で囲った酸素原子は、水に溶けている酸素分子(O2)に由来する。
→ 〇 Cの点線で囲った酸素原子は、水分子(H2O)に由来する。
Bは、肝臓や腫瘍のシチジンデアミナーゼによる加水分解的脱アミノ化を受け、
Cとなるので、Cの点線で囲った酸素原子は、水分子(H2O)に由来すると考えられる。
なお、C(5’-デオキシ-5-フルオロウリジン)はドキシフルリジンと呼ばれ、
腫瘍組織での選択的活性化を目的としたフルオロウラシルのプロドラッグとして用いられている。
◆ 5について
ホスホリラーゼとは、リン酸化または加リン酸分解する酵素である。
Cがピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼにより加リン酸分解され、
フルオロウラシルとなるので、
Dの構造式は上記のようにリン酸基を有すると考えられる。
カペシタビン(ゼローダ)とドキシフルリジンは、
腫瘍組織での選択的活性化を目的とした5−フルオロウラシルのプロドラッグである。
カペシタビンはドキシフルリジンと比較して、腫瘍組織での活性化の選択性が高く、
消化管や骨髄への副作用は軽減されていると考えられる。
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