医薬品化学 リュープロレリン酢酸塩 102回薬剤師国家試験問106
第102回薬剤師国家試験 問106
次に示した医薬品の活性成分Aに関する記述のうち正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 N末端のアミノ酸はD-プロリンである。
2 C末端では、L-プロリンの環内の窒素がN -エチル化されている。
3 L-ロイシンのエナンチオマーであるD-ロイシンが含まれている。
4 経口投与には適さない。
102回薬剤師国家試験 問106 解答解説
ペプチドのアミノ酸配列は、
通例、N末端を左端に置き、そこからC末端に向かって記載する。
AはLH-RH誘導体のリュープロレリン酢酸塩(リュープリン)である。
◆ 1について
1 × N末端のアミノ酸はD-プロリンである。
→ 〇 N末端のアミノ酸はL-プロリンである。
アミノ酸のD体L体については下記のリンク先を参照
アミノ酸のD体L体
プロリンのL体とD体のα炭素の絶対配置は下記の通り。
下記に示す通り、AのN末端のプロリンは、
α炭素の絶対配置がSであるのでL-プロリン(5-オキソ-L-プロリン)である。
◆ 2について
2 × C末端では、L-プロリンの環内の窒素がN -エチル化されている。
→ 〇 C末端では、L-プロリンのカルボキシ基がN -エチル化されている。
◆ 3について
3 〇 L-ロイシンのエナンチオマーであるD-ロイシンが含まれている。
下記の通り、L-ロイシンとD-ロイシンは互いにエナンチオマーの関係である。
◆ 4について
4 〇 経口投与には適さない。
一般に、ペプチドの医薬品は、消化管内で酵素の触媒により分解されやすく、また、消化管からの吸収も良くないため、経口投与には適さない。
本問のリュープロレリン酢酸塩(リュープリン)は、注射剤として皮下に投与される。
★他サイトさんの解説へのリンク
第102回問106(e-RECさん)
★ リュープロレリン酢酸塩(リュープリン)の作用機序
高用量の黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)又は高活性LH-RH誘導体であるリュープロレリン酢酸塩を反復投与すると、初回投与直後一過性に下垂体?性腺系刺激作用(急性作用)がみられた後、下垂体においては性腺刺激ホルモンの産生・放出が低下する。更に、精巣及び卵巣の性腺刺激ホルモンに対する反応性が低下し、テストステロン及びエストラジオール産生能が低下する(慢性作用)。リュープロレリン酢酸塩のLH放出活性はLH-RHの約100倍であり、その下垂体?性腺機能抑制作用はLH-RHより強い。リュープロレリン酢酸塩が高活性LH-RH誘導体であり、下垂体?性腺機能抑制作用が強い理由は、リュープロレリン酢酸塩が、LH-RHと比較して蛋白分解酵素に対する抵抗性が高いこと、LH-RHリセプターに対する親和性が高いことなどによる。
適応例
・子宮内膜症
・過多月経、下腹痛、腰痛及び貧血等を伴う子宮筋腫における筋腫核の縮小及び症状の改善
・閉経前乳癌
・前立腺癌
・球脊髄性筋萎縮症の進行抑制
・中枢性思春期早発症