レボセチリジン キラルスイッチ,血液脳関門,左旋性 101回薬剤師国家試験問107
101回薬剤師国家試験問107
ヒスタミンH1受容体拮抗薬であるレボセチリジン塩酸塩に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 薬物名中のレボは左旋性に由来する。
2 血液脳関門を通過しやすくするため、カルボキシ基が導入されている。
3 エーテル結合の酸素原子は、水素結合のドナー(供与体)として、ヒスタミンH1受容体との結合親和性を高める。
4 セチリジンのラセミックスイッチ(キラルスイッチ)により開発された光学活性体である。
101回薬剤師国家試験問107 解答解説
レボセチリジンは、ラセミ体であるセチリジンのR-エナンチオマーであり、セチリジンと同様に、持続性選択ヒスタミンH1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療薬である。
◆ 1について
1 〇 薬物名中のレボは左旋性に由来する。
レボは左旋性を意味するlevorotatoryに由来し、
デキストロは右旋性を意味するdextrorotatoryに由来する。
◆ 2について
2 × 血液脳関門を通過しやすくするため、カルボキシ基が導入されている。
カルボキシ基(COOH)は、生体内のpHではプロトンが外れてアニオン(COO−)となる。
よって、カルボキシ基の導入により極性が大きくなって親水性は高まり、脂溶性は低下するので、血液脳関門を通過しにくくなる。
◆ 3について
3 × エーテル結合の酸素原子は、水素結合のドナー(供与体)として、ヒスタミンH1受容体との結合親和性を高める。
→ 〇 エーテル結合の酸素原子は、水素結合のアクセプター(受容体)として、ヒスタミンH1受容体との結合親和性を高める。
水素結合のドナー・アクセプターについては下記のリンク先を参照
水素結合のドナー・アクセプターとは
◆ 4について
4 〇 セチリジンのラセミックスイッチ(キラルスイッチ)により開発された光学活性体である。
ラセミ体の医薬品から、有効性・安全性の高い一方の光学異性体のみを光学分割して開発された医薬品をラセミックスイッチ(キラルスイッチ)という。
レボセチリジンはデキストロセチリジンに比べ、ヒスタミン H1 受容体に対する親和性が 30 倍高く、解離速度は緩徐である。ラセミ体のセチリジンに比べ、レボセチリジンはヒスタミンH1受容体に対する親和性は約2倍高いことから、レボセチリジンの用量はラセミ体のセチリジンの半分で済むと考えられる。
添付文書において、セチリジン塩酸塩(ジルテック)とレボセチリジン塩酸塩(ザイザル)の効能・効果はアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症で同じだが、用量についてレボセチリジン塩酸塩はセチリジン塩酸塩の半分になっている。
・セチリジン塩酸塩(ジルテック)の用法及び用量
〔成人〕
通常、成人にはセチリジン塩酸塩として1回10mgを1日1回、就寝前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高投与量は1日20mgとする。
〔小児〕
通常、7歳以上15歳未満の小児にはセチリジン塩酸塩として1回5mgを1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。
・レボセチリジン塩酸塩(ザイザル)の用法及び用量
〔成人〕
通常、成人にはレボセチリジン塩酸塩として1回5mgを1日1回、就寝前に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高投与量は1日10mgとする。
〔小児〕
通常、7歳以上15歳未満の小児にはレボセチリジン塩酸塩として1回2.5mgを1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。
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