オセルタミビルリン酸塩 医薬品化学 95回薬剤師国家試験問11
95回薬剤師国家試験 問11
オセルタミビルリン酸塩Aに関する記述の正誤を判定してみよう。
a Aに存在する2つの窒素原子の塩基性の強さは ア<イ である。
b Aに存在する3つのキラル中心の立体化学はすべてRである。
c Aの基本骨格BのIUPAC名はcyclohexenoic acidである。
d Aはシアル酸の一種であるN-アセチルノイラミン酸の構造を手がかりとして開発された合成医薬品である。
95回薬剤師国家試験 問11 解答解説
オセルタミビルリン酸塩(タミフル)は、活性本体のカルボキシ基をエチルエステル化することで脂溶性を向上させ、経口吸収性を高めている。消化管から吸収された後、肝臓のカルボキシルエステラーゼにより加水分解されて活性本体となるプロドラッグである。
オセルタミビルリン酸塩(タミフル)の活性体は、ヒトA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する。
◆ aについて
a 〇 Aに存在する2つの窒素原子の塩基性の強さは ア<イ である。
アの窒素はアミドの窒素なので、塩基性をほとんど示さない。
詳細は下記のリンク先を参照
アミドの窒素は塩基性を示さない 85回問14a
◆ bについて
b × Aに存在する3つのキラル中心の立体化学はすべてRである。
→ 〇 Aに存在する3つのキラル中心の立体化学は(3R,4R,5S)である。
詳細は下記のリンク先を参照
95回問11b
◆ cについて
c × Aの基本骨格BのIUPAC名はcyclohexenoic acid である。
→ 〇 Aの基本骨格BのIUPAC名はcyclohex-1-enecarboxylic acidである。
詳細は下記のリンク先を参照
95回問11c
◆ dについて
d 〇 Aはシアル酸の一種であるN-アセチルノイラミン酸の構造を手がかりとして開発された合成医薬品である。
ノイラミニダーゼ阻害薬の構造の特徴については、下記のリンク先を参照
ノイラミニダーゼ阻害薬の構造の特徴