アミドの窒素は塩基性を示さない 共鳴構造 85回薬剤師国家試験問14a

第85回薬剤師国家試験 問14a
アミドに関する次の記述aの正誤を判定してみよう。

 

a 鎖状のアミドは窒素上の非共有電子対が隣接するカルボニル基と共鳴するため、対応するアミンより塩基性が強くなる。

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第85回薬剤師国家試験 問14a 解答解説

 

a × 鎖状のアミドは窒素上の非共有電子対が隣接するカルボニル基と共鳴するため、対応するアミンより塩基性が強くなる。
→ 〇 鎖状のアミドは窒素上の非共有電子対が隣接するカルボニル基と共鳴するため、アミドの窒素はほとんど塩基性を示さない。

 

アミドの窒素原子の非共有電子対は共鳴によりカルボニルとの間で非局在化する。

 

アミドの窒素は塩基性を示さない 共鳴構造 85回問14a

 

また、アミドの窒素は、隣接するカルボニルの強力な電子求引性誘起効果により電子密度が低下している。

 

アミドの窒素は塩基性を示さない 共鳴構造 85回問14a

 

以上のことから、
アミドの窒素は塩基性をほとんど示さない。

 

なお、アミドのC−N結合は共鳴により二重結合性(C=N)を帯びることから、その結合距離は単結合より短く、C−N結合周りの回転は束縛されている。これより、アミドではC=OとN−Hおよびアミドに隣接する炭素は同一平面上に存在することになる。

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