イリノテカンの窒素の塩基性の比較 薬剤師国家試験96回問11b
第96回薬剤師国家試験 問11b
イリノテカン塩酸塩水和物に関する記述bの正誤を判定してみよう。
b. ア〜エの窒素のうち、最も塩基性が強い窒素はアである。
第96回薬剤師国家試験 問11b 解答解説
b. 〇 ア〜エの窒素のうち、最も塩基性が強い窒素はアである。
ア〜エの窒素の塩基性の比較のポイントを下記の@〜Bで示す。
@ アミドの窒素は塩基性を示さない。
詳細は下記のリンク先を参照
アミドの窒素は塩基性を示さない 85回問14a
イとエの窒素はアミドの窒素であるが、
アミドの窒素は塩基性を示さない。
A 非共有電子対が入る混成軌道のs性が低いほど塩基性が強い。
詳細は下記のリンク先を参照
非共有電子対の軌道と塩基性 82回問2ab
非共有電子対が入る軌道のs性と塩基性の高さについて、
塩基性の強いものから、sp3>sp2>spとなる。
アの窒素は非共有電子対がsp3に収容されている
ウの窒素は非共有電子対がsp2に収容されている。
よって、アはウより塩基性が強い。
B 窒素にアルキル基が結合すると電子供与性電子効果により塩基性が強くなる。
窒素は電子密度が高いほど塩基性が強い。
アルキル基は電子供与性の誘起効果を与える。供与可能な非共有電子対を持つ窒素にアルキル基が結合すると、アルキル基の電子供与性電子効果により窒素の電子密度が高まることから、窒素の塩基性が強まる。
アの窒素にはアルキル基が3つ結合しており、アルキル基の電子供与性電子効果により窒素の電子密度が高まり、塩基性は強くなっている。
★参考外部サイトリンク
酸・塩基の定義(猫でもわかる有機化学さん)