ケトンとエステルのα水素 酸性度の比較 薬剤師国家試験88回問7b
第88回薬剤師国家試験 問7b
下記の2つの化合物の酸性の強さを比較してみよう。
第88回薬剤師国家試験 問7b 解答解説
本問の酸性度の強さの比較は下記の通り。
本問では各物質の炭素酸としての酸性度の比較を行うが、
それには共役塩基の安定性を比較する。
本問での共役塩基の安定性の比較においては、
共役塩基の負電荷の共鳴による非局在化がポイントである。
詳細は下記のリンク先を参照
酸性度と共役塩基の共鳴安定化 第86回問10c
共役塩基の負電荷が非局在化する度合いが高いほど、
共役塩基の安定性は高い。
本問のジケトン、ジエステルの共役塩基は下記のように共鳴する。
◆ ジケトン
◆ ジエステル
エステルはカルボニルにアルコキシ基(OR)が結合しているとみなせる。
アルコキシ基(OR)はsp・sp2炭素に対して電子供与性共鳴効果を与える。
よって、ジエステルの共役塩基では、
アルコキシ基の電子供与性共鳴効果により負電荷の非局在化が妨げられるため、
ジケトンの共役塩基よりも負電荷の非局在化の度合いは低いと考えられる。
したがって、ケトンに隣接するCHは、エステルに隣接するCHよりも酸性度は強い。
★参考外部サイトリンク
酸・塩基の定義(猫でもわかる有機化学さん)