ピリジン,ピペリジン 非共有電子対の軌道と塩基性 薬剤師国家試験82回問2ab

第82回薬剤師国家試験 問2ab
有機化合物の酸性度、塩基性度及び混成軌道に関する下記の記述の正誤を判定してみよう。

 

a piperidine(hexahydropyridine)窒素の非共有電子対はsp3混成軌道を占めるのに対して、pyridine窒素の非共有電子対はsp2混成軌道を占めている。

 

b 塩基性度はpyridineの方が、piperidineよりも高い。

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第82回薬剤師国家試験 問2ab 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 piperidine(hexahydropyridine)窒素の非共有電子対はsp3混成軌道を占めるのに対して、pyridine窒素の非共有電子対はsp2混成軌道を占めている。

 

ピリジン,ピペリジン 非共有電子対の軌道と塩基性 薬剤師国家試験82回問2ab

 

★参考外部サイトリンク
ピペリジン(wikipediaさん)

 

ピリジン(wikipediaさん)

 

 

◆ bについて
b × 塩基性度はpyridineの方が、piperidineよりも高い。
→ 〇 塩基性度はpiperidineの方が、pyridineよりも高い。

 

★ 窒素原子の非共有電子対の軌道のs性と塩基性の強さの関係

 

窒素の非共有電子対が供与されやすいほど窒素の塩基性は強い。
非共有電子対は、軌道のs性が高いほど原子核の引力が強くなり、供与されにくくなる。

 

窒素の非共有電子対の軌道のs性と窒素の塩基性の関係は下記の通り。

 

ピリジン,ピペリジン 非共有電子対の軌道と塩基性 薬剤師国家試験82回問2ab

 

 

ピペリジンの窒素の非共有電子対はsp3混成軌道を占めるのに対し、ピリジンの窒素の非共有電子対はsp2混成軌道を占める。
よって、ピペリジンの方が塩基性は強い。

 

ピリジン,ピペリジン 非共有電子対の軌道と塩基性 薬剤師国家試験82回問2ab

 

 

以下、補足説明

 

 

非共有電子対が供与されやすいほど塩基性は強い。
一般に、軌道のs性が高いほど電子が原子核の近くを通り、電子は原子核の+に引き付けられる。よって、非共有電子対の軌道のs性が高いほど原子核の引力が強く供与されにくい電子であり塩基性は弱く、非共有電子対のs性が低いほど原子核の引力が弱く供与されやすい電子であり塩基性は強い。
混成軌道のs性の高さについて、
s性の高いものから、sp>sp2>sp3 である。

 

よって、N原子の非共有電子対が入る軌道のs性と塩基性の高さについて、
塩基性の強いものから、sp3>sp2>spとなる。

 

ピペリジンの窒素の非共有電子対はsp3混成軌道を占めるのに対し、ピリジンの窒素の非共有電子対はsp2混成軌道を占める。
よって、ピペリジンの方が塩基性は強い。

 

★参考外部サイトリンク
酸・塩基の定義(猫でもわかる有機化学さん)

 

酸・塩基の平衡(猫でもわかる有機化学さん)

 

酸性の強弱(猫でもわかる有機化学さん)

 

含窒素化合物の塩基性度(薬学これでOKさん)

 

塩基性の強弱(猫でもわかる有機化学さん)

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