含窒素化合物の塩基性の比較 薬剤師国家試験98回問10

第98回薬剤師国家試験 問10
塩基性が最も強い含窒素化合物はどれか。1つ選びなさい。
含窒素化合物の塩基性 98回薬剤師国家試験問10

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第98回薬剤師国家試験 問10 解答
正解は5である。

 

★ 窒素の非共有電子対が入る混成軌道のs性が低いほど塩基性が強い。

 

詳細は下記のリンク先を参照
非共有電子対の軌道と塩基性 82回問2ab

 

 

★ 窒素にアルキル基が結合すると電子供与性電子効果により塩基性が強くなる。

 

供与可能な非共有電子対を持つ窒素にアルキル基が結合すると、アルキル基の電子供与性電子効果で窒素の電子密度が高まることから、窒素の塩基性が強まる。

 

 

◆ 5について
含窒素化合物の塩基性 98回薬剤師国家試験問10
窒素の非共有電子対はs性の低いsp3混成軌道に入っている。
さらに、5の窒素にはアルキル基が2つ置換している。
アルキル基の電子供与性電子効果により、窒素の電子密度は高まり、塩基性は強くなる。
以上のことから、5の窒素は相対的に塩基性が強いと考えられる。

 

含窒素化合物の塩基性 98回薬剤師国家試験問10

 

 

 

以下では、他の選択肢について述べる。

 

◆ 1について
含窒素化合物の塩基性 98回薬剤師国家試験問10
塩基として働くには供与可能な非共有電子対を保有している必要がある。
ニトロ基の窒素は非共有電子対を持たないため塩基性を示さない。

 

 

◆ 2について
含窒素化合物の塩基性 98回薬剤師国家試験問10

 

s性の高い軌道は原子核との距離が近い。よって、s性が高い軌道の非共有電子対は原子核に引き付けられるため供与されにくい。
C三Nの窒素の非共有電子対はs性の高いsp混成軌道に入っているので、この非共有電子対は供与されにくく、窒素の塩基性は弱い。

 

含窒素化合物の塩基性 98回薬剤師国家試験問10

 

 

◆ 3について
含窒素化合物の塩基性 98回薬剤師国家試験問10

 

ピロールは塩基性を示さない。
詳細は下記のリンク先を参照
ピロールが塩基性を示さない理由 84回問6b

 

 

◆ 4について
含窒素化合物の塩基性 98回薬剤師国家試験問10

 

★ アミドの窒素は塩基性を示さない。

 

詳細は下記のリンク先を参照
アミドの窒素は塩基性を示さない 85回問14a

 

 

★他サイトさんの解説へのリンク
第98回問10(e-RECさん)

 

★参考外部サイトリンク
酸・塩基の定義(猫でもわかる有機化学さん)

 

酸・塩基の平衡(猫でもわかる有機化学さん)

 

塩基性の強弱(猫でもわかる有機化学さん)

 

含窒素化合物の塩基性度(薬学これでOK!さん)

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