p-,m-ニトロフェノールの酸性の比較 薬剤師国家試験95回問4b

第95回薬剤師国家試験 問4b
下記A〜Cを酸性の強いものから並べなさい。

 

A. フェノール B. m-ニトロフェノール C. p-ニトロフェノール

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題集 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題集 化学 酸性度・塩基性度 へ

 

第95回薬剤師国家試験 問4b 解答解説
酸性度の強いものから、
C. p-ニトロフェノール >
B. m-ニトロフェノール >
A. フェノール 
である。

 

化合物の酸性度について、その共役塩基が安定なものほど酸性度が強い。
フェノールの共役塩基とは、Ph−OHからH+が解離してPh−O:‐になった陰イオンのことである。

 

 

官能基の電子効果がフェノールの酸性度に与える影響について述べる。
官能基の電子効果については
下記のリンク先を参照
誘起効果・共鳴効果とは

 

 

・ フェノールの共役塩基(Ph−O:‐)は置換基によって電子が求引されて負電荷が分散するほど安定性が高い。
よって、フェノール(Ph−OH)は置換基によって電子が求引されているほど酸性度が強い。

 

p-,m-ニトロフェノールの酸性の比較 薬剤師国家試験95回問4b

 

 

・ フェノールの共役塩基(Ph−O:‐)は置換基によって電子が供与されて負電荷が強まるほど安定性が低い。
よって、フェノール(Ph−OH)は置換基によって電子が供与されているほど酸性度が弱い。

 

p-,m-ニトロフェノールの酸性の比較 薬剤師国家試験95回問4b

 

 

ニトロ基(NO2)が芳香族化合物に対して与える電子効果について述べる。

 

ニトロ基やシアノ基(CN)等のヘテロ不飽和結合を含む置換基は芳香族化合物に対して電子求引性誘起効果(−I)と電子求引性共鳴効果(−R)の両面から電子求引性の電子効果を与える。
ニトロ基(−NO2)が結合するフェノールの共役塩基(Ph−O:‐)は、ニトロ基の芳香族化合物に対する電子求引性の電子効果により負電荷が弱められることから安定性が高くなる。ニトロ基が結合することでフェノールの共役塩基の安定性が高まるので、ニトロフェノールの酸性度はただのフェノールより強いと考えられる。

 

p-,m-ニトロフェノールの酸性の比較 薬剤師国家試験95回問4b

 

 

p-ニトロフェノールとm-ニトロフェノール酸性度の比較には、置換基のベンゼン環に対する電子効果がベンゼン環の位置によって異なることを知っておく必要がある。
ニトロ基やシアノ基(CN)等のO,N,Sの不飽和結合を含む置換基の電子求引効果は、オルト・パラ位で相対的に強く、メタ位で相対的に弱い。その理由として、メタ位には共鳴効果が働きにくいことが挙げられる。
よって、p-ニトロフェノールの共役塩基はm-ニトロフェノールの共役塩基よりもアニオン(−O:-)が受ける電子求引効果が強く、負電荷の安定性がより高く、塩基性は弱い。共役塩基の塩基性が弱いほど、元の酸となる化合物の酸性度は強い。したがって、p-ニトロフェノールはm-ニトロフェノールよりも酸性度が強い。

 

p-,m-ニトロフェノールの酸性の比較 薬剤師国家試験95回問4b

 

 

★参考外部サイトリンク
酸・塩基の定義(猫でもわかる有機化学さん)

 

酸・塩基の平衡(猫でもわかる有機化学さん)

 

酸性の強弱(猫でもわかる有機化学さん)

 

酸性度の概要(薬学これでOKさん)

 

誘起効果・共鳴効果による酸性度の変化(薬学これでOKさん)

トップへ戻る