グアニジン 共役酸の共鳴安定化と塩基性 薬剤師国家試験104回問7
第104回薬剤師国家試験 問7
最も塩基性が強い化合物はどれか。1つ選びなさい。
第104回薬剤師国家試験 問7 解答解説
最も塩基性が強いのは
1のグアニジンである。
ブレンステッドの定義によると、塩基とはH+を受け取るものであり、塩基性の強さとはH+の受け取りやすさのことである。
塩基となる物質(B:)はプロトン(H+)を受け取って陽イオン形(BH+)となり、BH+はプロトンを放出してB:に戻る。
BH+を塩基(B:)の共役酸と呼ぶ。
★ 共役酸(BH+)の安定性が高いほど、塩基(B:)の塩基性は強い。
含窒素化合物の共役酸とは、窒素(N:)がH+を受け取ってNH+になった陽イオンのことである。
共役酸(NH+)は、共鳴により正電荷が広く分散するほど安定性が高い。
グアニジンの共役酸(NH+)は、共鳴により正電荷が3つの窒素に非局在化されるので、かなり安定性が高い。
よって、グアニジンの塩基性はかなり強い。
他の選択肢について
◆ 2について
★ アミドの窒素は塩基性を示さない。
詳細は下記のリンク先を参照
アミドの窒素は塩基性を示さない 85回問14a
◆ 3について
エチルアミンの窒素の非共有電子対はs性の低いsp3に収容されており、さらに、アルキル基による電子供与性電子効果で窒素の電子密度が高められていることから、エチルアミンの塩基性は比較的に強い。
ただ、共役酸(NH+)の正電荷が共鳴によって分散しないため、1のグアニジンとの比較では相対的に塩基性は弱い。
★ 窒素の非共有電子対が入る混成軌道のs性が低いほど塩基性が強い。
詳細は下記のリンク先を参照
非共有電子対の軌道と塩基性 82回問2ab
★ 窒素にアルキル基が結合すると電子供与性電子効果により塩基性が強くなる。
アルキル基は電子供与性の誘起効果を発現する。供与可能な非共有電子対を持つ窒素にアルキル基が結合すると、窒素の電子密度が高まり非共有電子対を供与しやすくなることから、窒素の塩基性が強まる
◆ 4について
インドールの窒素は塩基性を示さない。
★ 環の窒素の非共有電子対がp軌道に収容され、環の芳香族性に寄与している場合、その窒素は塩基性を示さない
インドールでは、窒素の非共有電子対がp軌道に収容されることで、環は芳香族性を示し、結果、環は安定なものになっている。よって、インドールは塩基性を示さない。
◆ 5について
ピリミジンの2つの窒素の非共有電子対はsp2混成軌道に収容されており塩基性を示すが、その塩基性は弱い。
★参考外部サイトリンク
含窒素化合物の塩基性度(薬学これでOK!さん)
★他サイトさんの解説へのリンク
第104回問7(e-RECさん)