脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性の比較 89回薬剤師国家試験問4の1

第89回薬剤師国家試験 問4の1
下記の化合物I〜IVにおいて、アとイの窒素原子の塩基性の強さを比較しなさい。
脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性の比較 89回薬剤師国家試験問4の1

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第89回薬剤師国家試験 問4の1 解答解説
脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性の比較 89回薬剤師国家試験問4の1
一般に、脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性度の比較では、
脂肪族アミン>芳香族アミン 
である。
よって、
アの芳香族アミンの窒素より、
イの脂肪族アミンの窒素の塩基性の方が強い。

 

 

★ 非共有電子対が共鳴により非局在化すると塩基性が弱くなる。

 

窒素の非共有電子対が供与されやすいほど塩基性は強い。

 

アミンがsp炭素またはsp2炭素に結合している場合、窒素の非共有電子対が共鳴により非局在化し、非共有電子対が供与されにくくなるため、窒素の塩基性は弱い。

 

脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性の比較 89回薬剤師国家試験問4の1

 

設問のアのように芳香環に直接アミンが置換しているものを芳香族アミンと呼ぶ。

 

脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性の比較 89回薬剤師国家試験問4の1

 

 

芳香族アミンでは、下記のように窒素の非共有電子対が共鳴により芳香環に非局在化して供与されにくいので、特に塩基性が弱い。

 

脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性の比較 89回薬剤師国家試験問4の1

 

よって、
脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性度の比較では、
脂肪族アミン > 芳香族アミン 
である。

 

したがって、
脂肪族アミンであるイの窒素の塩基性は
芳香族アミンであるアの窒素の塩基性に比べて強い。

 

脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性の比較 89回薬剤師国家試験問4の1

 

また、イの窒素はアルキル基による電子供与性電子効果で塩基性が強まっている。
窒素の電子密度が高いほど非共有電子対が供与されやすく塩基性は強い。
アルキル基は電子供与性の誘起効果を与える。供与可能な非共有電子対を持つ窒素にアルキル基が結合すると、アルキル基の電子供与性電子効果により窒素の電子密度が高まり非共有電子対を供与しやすくなることから、窒素の塩基性が強まる。

 

イの窒素には3つのアルキル基が結合しており、アルキル基による電子供与性電子効果で供与可能な非共有電子対を持つ窒素の電子密度が高まっていることから塩基性が強いと考えられる。

 

脂肪族アミンと芳香族アミンの塩基性の比較 89回薬剤師国家試験問4の1

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