酸性度と共役塩基の塩基性 薬剤師国家試験90回問4
第90回薬剤師国家試験 問4
次の化合物a〜eをその共役塩基の塩基性の強いものから順に並べなさい。
a CH3CH3
b HCO2H
c H2O
d NH3
e H2SO4
第90回薬剤師国家試験 問4 解答解説
ブレンステッドの定義によると、酸とはH+を放出するものであり、酸性の強さとはH+の放出のしやすさのことである。
酸となる物質(HA)はプロトン(H+)を放出して陰イオン形(A:−)となり、A:−はプロトンを受け取ってHAに戻る。A:−を酸(HA)の共役塩基と呼ぶ。
上記の可逆反応の平衡定数をHAの酸解離定数(Ka)と呼ぶ。また、Kaの負の常用対数(−logKa)をpKaと呼ぶ。
平衡が右に傾き、HAの酸解離定数Kaが大きいほど(pKaが小さいほど)、HAの酸性度は強いことになる。
★ 酸の酸性度と共役塩基の安定性・塩基性の関係
・ 共役塩基(A:−)の安定性が高い、または、塩基性が弱いほど、酸(HA)の酸性度は強い(酸解離定数Kaは大きく、pKaは小さい)。
・ 共役塩基(A:−)の安定性が低い、または、塩基性が強いほど、酸(HA)の酸性度は弱い(酸解離定数Kaは小さく、pKaは大きい)。
物質の酸性度は強いものから、
無機酸>カルボン酸>炭酸>フェノール>チオール>アルコール,水
という序列である。
問の物質をこの序列に従って並べると、
酸性度の強いものから、
e H2SO4(無機酸) >
b HCO2H(カルボン酸) >
c H2O(水) >
d NH3 >
a CH3CH3
となる。
よって、
共役塩基の塩基性が強い順=酸性の弱い順は、
a CH3CH3 >
d NH3 >
c H2O(水) >
b HCO2H(カルボン酸) >
e H2SO4(無機酸)
となる。
★参考外部サイトリンク
酸・塩基の定義(猫でもわかる有機化学さん)