オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化 103回薬剤師国家試験問213

103回薬剤師国家試験 問213
オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化(A〜D)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化 103回薬剤師国家試験問213

 

1 Aの反応はpHが7より大きいと加速される。
2 Bの過程で不斉中心は消失する。
3 Cは酸化還元反応である。
4 Dでは酵素のシステイン残基と反応する。

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103回薬剤師国家試験 問213 解答解説

 

◆ 1について

 

オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化 103回薬剤師国家試験問213

 

1 × Aの反応はpHが7より大きいと加速される。
→ 〇 Aの反応はpHが7より小さいと加速される。

 

オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化 103回薬剤師国家試験問213

 

 

◆ 2について

 

2 ○ Bの過程で不斉中心は消失する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
オメプラゾール 不斉中心の消失 103回問213の2

 

 

◆ 3について

 

オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化 103回薬剤師国家試験問213

 

3 × Cは酸化還元反応である。

 

Cは硫黄に対してベンズイミダゾールの窒素が求核攻撃することによる求核置換反応である。
よって、Cは酸化でも還元でもない。なお、この求核置換反応により、脱水が起こる。

 

オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化 103回薬剤師国家試験問213

 

 

◆ 4について
4 〇 Dでは酵素のシステイン残基と反応する。

 

この酵素は胃壁細胞膜のH+-K+ATPase(プロトンポンプ)である。
スルフェンアミドの硫黄に対してH+-K+ATPaseのシステイン残基のチオール基(−SH)が求電子攻撃し、ジスルフィド結合(共有結合)を形成する。これにより、プロトンポンプの機能を不可逆的に阻害し、胃酸の生成を抑制する。

 

オメプラゾールが薬理作用を示す際の生体内における変化 103回薬剤師国家試験問213

 

このように、プロトンポンプインヒビター(PPI)は、プロトンポンプとジスルフィド結合による安定な共有結合を形成してその機能を不可逆的に阻害するため、薬効は強力で長時間続く。よって、ピロリ菌の除菌時などを除いてPPIは通常1日1回の投与で良い。

 

 

★他サイトさんの解説へのリンク
第103回問212,213(e-RECさん)

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