追加するオピオイド鎮痛薬の構造 106回薬剤師国家試験問212
106回薬剤師国家試験 問212
78歳男性。肺がん末期のため、在宅で緩和ケアを受けている。痛みに対して以下の薬剤が処方されていた。本日、薬剤師が患者宅を訪問したところ、痛みの評価は、NRS(数値スケール)で6となり、痛みが増強してきた。そこで、薬剤師が医師に痛みの三段階除痛ラダーに基づき、オピオイド鎮痛薬の追加を提案することにした。
(処方)
アセトアミノフェン錠500mg 1回2錠(1日8錠)
1日4回 朝昼夕食後・就寝前 14日分
問212
この患者にこの段階で追加する薬物として適切なのはどれか。2つ選びなさい。
106回薬剤師国家試験 問212 解答解説
オピオイド鎮痛薬は1(コデインリン酸塩水和物)と3(トラマドール)である。
内因性オピオイドペプチドのN末端のチロシンは、
下記のような構造的特徴を有する。。
このことから、オピオイド受容体を標的とする薬物のファーマコフォアは、
@ 塩基性窒素
A 塩基性窒素から炭素数2,3個離れたベンゼン環
B フェノール性ヒドロキシ基(または代謝されてフェノール性ヒドロキシ基を生じる構造)
が存在し、内因性オピオイドペプチドのN末端のチロシンと同様の空間配置を取れることである。
ただし、オピオイドにはフェノール性ヒドロキシ基が無いものもある。
選択肢の1と3は、オピオイド受容体を標的とする薬物のファーマコフォアを有する。
・1(コデインリン酸塩水和物)
・3(トラマドール)
別解として、他の選択肢の鎮痛薬は構造的特徴から消去することができる。
◆ 4について
4は下記の通りインドール酢酸構造を有するので、インドール酢酸系の非ステロイド系抗炎症薬と推定できる。
なお、4はインドメタシンである。
◆ 5について
三環系構造を有する薬物の中には鎮痛剤として使われるものがある。
5は三環系抗うつ薬のアミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール)であるが、末梢性神経障害性疼痛に適応がある。
なお、2は選択的COX-2阻害薬のセレコキシブである。
参考類似問題
オピオイド受容体を標的とする鎮痛薬 100回問211改題
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第106回問212,213(e-RECさん)