ラングミュアー式に従う場合の薬物のタンパク結合 89回薬剤師国家試験問152
89回薬剤師国家試験 問152
薬物Aと薬物Bのアルブミンとの結合はラングミュアー式に従い、図に示す直線が得られた。その結果に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。
ここで、Dfは非結合形薬物濃度、rはアルブミン1分子あたりの結合薬物分子数である。
a 図は逆数プロットと呼ばれる。
b 薬物Aと薬物Bのアルブミン分子上の結合部位数は等しい。
c 薬物Aと薬物Bのアルブミンとの結合は、いずれも薬物濃度に依存しない。
d 薬物Aの結合定数の方が薬物Bの結合定数より大きい。
89回薬剤師国家試験 問152 解答解説
◆ aについて
a × 図は逆数プロットと呼ばれる。
→ 〇 図はScatchardプロットと呼ばれる。
c × 薬物Aと薬物Bのアルブミンとの結合は、いずれも薬物濃度に依存しない。
→ 〇 薬物Aと薬物Bのアルブミンとの結合は、いずれも薬物濃度に依存する。
薬物とタンパク質との結合について、
下記のラングミュアー式がある。
薬物とタンパク質との結合がラングミュアー式に従う場合、
縦軸にr、横軸に[Df]をプロットとすると、
下記のような曲線となる。
薬物Aと薬物Bのアルブミンとの結合は、いずれもラングミュアー式に従うので、
薬物濃度に依存すると考えられる。
ラングミュアー式を変形すると、
以下に示すScatchard式が得られる。
Scatchard式より、
縦軸にr/[Df]、
横軸にrをプロットして得られる直線(Scatchardプロット)について、
傾きは−K、縦軸切片はn・K、横軸切片はnに等しい。
◆ b,dについて
b ○ 薬物Aと薬物Bのアルブミン分子上の結合部位数は等しい。
d ○ 薬物Aの結合定数の方が薬物Bの結合定数より大きい。
Scatchardプロットの横軸切片はn(タンパク質1分子上の結合部位数)である。
図より、薬物Aと薬物Bの横軸切片は等しいので、
薬物Aと薬物Bのアルブミン分子上の結合部位数は等しいと考えられる。
Scatchardプロットの傾きは−Kである。
図より、直線の傾きは、薬物Aの方が薬物Bより大きいので、
薬物Aの結合定数の方が薬物Bの結合定数より大きい。