薬剤師国家試験過去問題集 製剤化・製剤機械

83回薬剤師国家試験問175 製剤のコーティングに関する記述

83回薬剤師国家試験 問175
製剤のコーティングに関する次の記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 結晶セルロースは錠剤のフィルムコーティング剤として繁用されている。
b 吸湿性の錠剤のシュガーコーティングでは、はじめに防水膜を被覆してから糖衣層を形成させる。
c ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートは胃内で溶解しやすい被膜剤として使用される。
d フィルムコーティングには、水系と非水系の二種類のコーティングの方法がある。

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83回薬剤師国家試験 問175 解答解説

 

◆ aについて
a × 結晶セルロースは錠剤のフィルムコーティング剤として繁用されている。
→ 〇 結晶セルロースは錠剤のフィルムコーティング剤として用いられない。

 

結晶セルロースは、α−セルロースを鉱酸(無機酸)で部分的に解重合し,精製した半合成高分子であり、
水や有機溶剤に不溶である。
結晶セルロースは、結合剤,崩壊剤,滑沢剤の機能を兼ね備えた賦形剤として用いられるが、
結合剤として用いられる場合は直接打錠用に限られる。

 

関連問題
結晶セルロースは直接打錠用の結合剤として用いられる? 97回問51

 

結晶セルロースの溶解性・崩壊剤としての利用について 88回問175a

 

 

◆ bについて
b 〇 吸湿性の錠剤のシュガーコーティングでは、はじめに防水膜を被覆してから糖衣層を形成させる。

 

シュガーコーティングでの糖衣層の形成には白糖の水溶液が用いられる。
そのため、シュガーコーティングでは、素錠への水分移行を防ぐために、はじめにフィルムコーティングにより防水膜を被覆してから糖衣層を形成させる。

 

関連問題
シュガーコーティングとフィルムコーティング 96回問176ab

 

 

◆ cについて
c × ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートは胃内で溶解しやすい被膜剤として使用される。

 

ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートのようなフタル酸エステルは、
胃内で溶解せず、腸内で溶解する腸溶性コーティング剤として用いられる。

 

関連問題
腸溶性の高分子でないのはどれか 103回問50

 

 

◆ dについて
d 〇 フィルムコーティングには、水系と非水系の二種類のコーティングの方法がある。

 

非水系コーティングは非水溶剤が安全衛生や防災を考慮した時に敬遠されやすく、水系コーティングの方が選ばれやすくなっている。

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