薬剤師国家試験過去問題集 コントロールドリリース

溶出試験のグラフから推察される製剤的特徴 98回薬剤師国家試験問179

98回薬剤師国家試験 問179
グラフは、ある放出制御型製剤についての溶出試験を下に示す条件で実施した結果である。このグラフから推察される製剤的な特徴に関する記述のうち、適切なのはどれか。1つ選びなさい。
ただし、薬物の溶解度はpHによって変化しないものとする。

 

98回薬剤師国家試験問179 不溶性マトリックス型製剤からの薬物溶出

 

1 腸溶性製剤からの薬物溶出で、pH に依存して溶出量が変化している。
2 不溶性マトリックス型製剤からの薬物溶出で、マトリックス中の拡散が薬物溶出の律速となっている。
3 侵食(エロージョン)型製剤からの薬物溶出で、水溶性マトリックスの溶解もしくは浸潤に伴って薬物が溶出する。
4 リザーバー型製剤からの薬物溶出で、水溶性成分からなる錠剤を被覆している不溶性高分子膜を介して薬物が溶出する。
5 浸透圧ポンプ型製剤からの薬物溶出で、錠剤内への水の侵入に伴って薬物が溶出する。

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98回薬剤師国家試験 問179 解答解説

 

正解は、選択肢2の「不溶性マトリックス型製剤からの薬物溶出で、マトリックス中の拡散が薬物溶出の律速となっている」である。

 

98回薬剤師国家試験問179 不溶性マトリックス型製剤からの薬物溶出

 

設問のグラフより、本剤からの薬物溶出率は時間の平方根(√t)に比例しているので、薬物の放出は次のヒグチ(Higuchi)の式に従っていると考えられる。

 

Q = [D・(2A−Cs)Cs・t]1/2

 

Q:単位面積当たりの累積薬物放出量 A:マトリックス中の薬物の全濃度
D:マトリックス中の薬物の拡散係数 Cs:薬物の溶解度
t:時間

 

薬物の放出がヒグチ式に従うのは、マトリックス型放出制御製剤のうち、投与後もマトリックス構造が維持されたまま、マトリックス内を薬物が拡散し、表面から放出されるタイプの製剤である。
このタイプのマトリックス型製剤では、薬物のマトリックス内の拡散が薬物溶出の律速となり、薬物が放出されていくのに伴い、マトリックス内の薬物が残存する層が後退していくので、投与からの経過時間が長くなるほど、薬物が放出されるまでにマトリックス内を拡散する距離が長くなる。
よって、このタイプの製剤では、投与からの時間が長くなるほど、単位経過時間当たりの薬物放出量が低下する。
このタイプの製剤の例として、不溶性マトリックス型経口投与製剤やマトリックス型経皮吸収製剤が挙げられる。

 

なお、マトリックス型製剤であっても、投与後、マトリックス自体が溶解もしくは浸潤するのに伴い薬物を放出するタイプの製剤では、上記のような薬物放出を示さない。

 

関連問題
・エチルセルロースを基剤とするマトリックス型製剤の薬物放出パターン 106回問49

 

・マトリックス型製剤と膜制御型製剤の薬物放出速度 91回問178

 

 

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98回問179(e-RECさん)

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