メチルコバラミンの構造 第106回薬剤師国家試験問101
第106回薬剤師国家試験 問101
以下に示したビタミンの構造に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。なお、アの金属カチオンに結合している原子の電荷(形式電荷)は省略されている。
1 アは1価の銅である。
2 キレート錯体である。
3 インドール骨格が含まれる。
4 フラノース環が含まれる。
5 aの不斉炭素の立体配置はSである。
第106回薬剤師国家試験 問101 解答解説
◆ 1について
1 × アは1価の銅である。
→ 〇 アはコバルトである。
金属とコリン環を含むビタミンなので、ビタミンB12である。ビタミンB12は金属としてコバルトを含む。
ビタミンB12のうち人体で補酵素として働くものを補酵素型ビタミンB12と呼び、アデノシルコバラミンとメチルコバラミンがある。
ヒドロキソコバラミンやシアノコバラミンなど他のビタミンB12は、生体内で補酵素型ビタミンB12のアデノシルコバラミンやメチルコバラミン(またはそれ以外の物質)に代謝される。
本問の構造は、コバルトイオンにメチル基が結合しているのでメチルコバラミンのものである。
アデノシルコバラミンでは、コバルトイオンに5´−デオキシアデノシンが結合している。
★参考外部サイトリンク
ビタミンB12(日本薬学会さん)
◆ 2について
2 〇 キレート錯体である。
二座以上の配位子が金属イオンを挟むような形で形成される錯体をキレート錯体と呼ぶ。
本問のメチルコバラミンでは、コバルトイオンに対してコリン環の窒素とベンズイミダゾール骨格の窒素が配位結合することにより、キレートが形成されている。
◆ 3および4について
3 × インドール骨格が含まれる。
→ 〇 ベンゾイミダゾール骨格が含まれる。
4 〇 フラノース環が含まれる。
詳細は下記のリンク先を参照
ビタミンB12 フラノース環,ベンゾイミダゾール,コリン環 106回問101の3,4
◆ 5について
5 × aの不斉炭素の立体配置はS である。
→ 〇 aの不斉炭素の立体配置はRである。
aの不斉炭素の絶対配置は、最も優先順位の低いHが奥にあり、@ABが右回り時計回りに並んでいるのでRである。
★他サイトさんの解説へのリンク
第106回問101(e-RECさん)