同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は溶媒の誘電率を低下させると安定性は… 108回薬剤師国家試験問178の5
108回薬剤師国家試験 問178の5
医薬品の水溶液中における安定性に関する記述の正誤を判定してみよう。
5 同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると安定性が低下する。
108回薬剤師国家試験 問178の5 解答解説
5 × 同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると安定性が低下する。
→ 〇 同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると安定性が高まる。
イオンA−イオンBの間の反応速度について、
反応速度定数(k)と反応物の電荷(Z)および溶媒の誘電率(ε:イプシロン)の関係式として次式が成り立つ。
logk = logk∞ − K・ZA・ZB・(1/ε)
ZA:イオンAの電荷 ZB:イオンBの電荷
ε:溶媒の誘電率 k∞:ε→∞の時の反応速度定数
K:比例定数
上式より、イオンAとイオンBが同符号の場合、ZA・ZB>0 なので、
溶媒の誘電率εが増大すると、反応速度定数kは大きくなり、
溶媒の誘電率εが低下すると、反応速度定数kは小さくなる。
よって、同符号のイオン間の反応で分解する医薬品は、
アルコールを添加することで溶媒の誘電率を低下させると安定性が高まるといえる。