医薬品の安定性に関する記述 92回薬剤師国家試験問165
92回薬剤師国家試験 問165
医薬品の安定性に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a ベンジルペニシリン(ペニシリンG)は水溶液とした場合、分解しやすいので、プロカインとの難溶性塩にして懸濁剤とすると安定性が向上する。
b チアミン塩化物塩酸塩はチアミン硝化物より水に溶けにくく吸湿性が低いので、錠剤や散剤中の安定性に優れている。
c アスコルビン酸はそれ自身が還元されやすいので、抗酸化剤として用いられる。
d アミノ安息香酸エチルは水溶液中でカフェインと分子間相互作用による複合体を形成し、加水分解が抑制され、安定化される。
92回薬剤師国家試験 問165 解答解説
◆ aについて
a 〇 ベンジルペニシリン(ペニシリンG)は水溶液とした場合、分解しやすいので、プロカインとの難溶性塩にして懸濁剤とすると安定性が向上する。
加水分解を受けやすいこと等により、水に不安定な薬物は、
水中での安定性を高めるために、あえて難溶性塩にして懸濁剤とすることがある。
ベンジルペニシリン(ペニシリンG)は、プロカインとの難溶性塩とすることで、水中での安定性が向上し、薬効が持続化する。
◆ bについて
b × チアミン塩化物塩酸塩はチアミン硝化物より水に溶けにくく吸湿性が低いので、錠剤や散剤中の安定性に優れている。
→ 〇 チアミン硝化物はチアミン塩化物塩酸塩より水に溶けにくく吸湿性が低いので、錠剤や散剤中の安定性に優れている。
◆ cについて
c × アスコルビン酸はそれ自身が還元されやすいので、抗酸化剤として用いられる。
→ 〇 アスコルビン酸はそれ自身が酸化されやすいので、抗酸化剤として用いられる。
酸化されやすい薬物は酸化防止剤を添加することで安定性を高められる。アスコルビン酸(ビタミンC)や亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)などはそれ自身が酸化されやすいので抗酸化作用を有し、酸化防止剤として用いられる。
◆ dについて
d 〇 アミノ安息香酸エチルは水溶液中でカフェインと分子間相互作用による複合体を形成し、加水分解が抑制され、安定化される。
アミノ安息香酸エチルやプロカインなどのエステルは水中で加水分解を受けるが、カフェインと複合体を形成することにより、H+やOH−がエステル部分に接近しにくくなり、加水分解が抑制され、安定化される。