医薬品の安定性に関する記述 87回薬剤師国家試験問166

87回薬剤師国家試験 問166
医薬品の安定性に関する記述のうち,正しいものはどれか。
a 反応速度は,絶対温度の上昇とともに増加し,また活性化エネルギーが大きくなるほど速度定数の温度依存性は減少する。
b 一般酸・塩基触媒反応によって分解する薬物は,緩衝液の組成によって安定性が異なる。
c 水溶液中において同符号のイオン間の反応では,溶媒の誘電率が増加すると分解速度定数は減少する。
d 酸化によって分解する薬物では,保存する容器内の空気を窒素に置換すると安定性が改善される。

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87回薬剤師国家試験 問166 解答解説

 

◆ aについて
a × 反応速度は,絶対温度の上昇とともに増加し,また活性化エネルギーが大きくなるほど速度定数の温度依存性は減少する。

 

→ 〇 反応速度は,絶対温度の上昇とともに増加し,また活性化エネルギーが大きくなるほど速度定数の温度依存性は増大する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
反応速度の温度依存性と活性化エネルギー  87回問166a

 

 

◆ bについて
b 〇 一般酸・塩基触媒反応によって分解する薬物は,緩衝液の組成によって安定性が異なる。

 

酸触媒反応について、
H3O+が酸触媒となる反応を特殊酸触媒反応と呼び、
H3O+以外の物質が酸触媒となる反応を一般酸触媒反応と呼ぶ。

 

塩基触媒反応について、
OHが塩基触媒となる反応を特殊塩基触媒反応と呼び、
OH以外の物質が塩基触媒となる反応を一般塩基触媒反応と呼ぶ。

 

一般酸・塩基触媒反応によって分解する薬物は,緩衝液の構成成分や濃度により触媒作用が異なるため、
安定性は異なる。

 

 

◆ cについて
c × 水溶液中において同符号のイオン間の反応では,溶媒の誘電率が増加すると分解速度定数は減少する。
→ 〇 水溶液中において同符号のイオン間の反応では,溶媒の誘電率が増加すると分解速度定数は増加する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
イオン間反応の速度定数と溶媒の誘電率 87回問166c

 

関連問題
同符号のイオン間の反応で分解する医薬品はアルコールを添加すると安定性は… 108回問178の5

 

 

◆ dについて
d 〇 酸化によって分解する薬物では,保存する容器内の空気を窒素に置換すると安定性が改善される。

 

酸化を受けやすい薬物の安定性改善には、抗酸化成分を添加する他、保存容器内の空気を窒素等の不活性ガスで置換すると酸化分解が抑制され、安定性が改善される。また、過酸化物や重金属イオンは酸化を促進させるので、これらを除去することも酸化分解する薬物の安定性を改善することになる。

 

 

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