ビタミンEのフェノール性水酸基 ラジカル消去と抗酸化作用 96回薬剤師国家試験問6d
第96回薬剤師国家試験 問6d
フェノール類に関する記述の正誤を判定してみよう。
d ビタミンEはフェノール性水酸基をもつため、生体内で抗酸化作用を示す。
第96回薬剤師国家試験 問6d 解答解説
d ○ ビタミンEはフェノール性水酸基をもつため、生体内で抗酸化作用を示す。
フェノール性水酸基はラジカルを補足することで抗酸化作用を示す。ビタミンE(α−トコフェロール)はフェノール性水酸基を有し、脂質などの過酸化を防止する。
ビタミンEは細胞膜に存在し、長いアルキル基を細胞膜の脂質中に突き刺し(疎水相互作用)、フェノール性水酸基を細胞膜の外に向けている。ヒドロキシラジカルやペルオキシラジカル(R・)などのラジカルが細胞膜に近づくと、細胞膜に存在するビタミンE(α−トコフェロール)のフェノール性水酸基(Ph-OH)がラジカルと反応し、ビタミンEのフェノール性水酸基からHラジカルが引き抜かれてトコフェロキシラジカル(Ph-O・)となる代わりにR・がRHとなってラジカルが消去される。トコフェロキシラジカル(Ph-O・)は還元型ビタミンC(L-アスコルビン酸)によってトコフェロール(Ph-OH)に戻る。その際、還元型ビタミンC(L-アスコルビン酸)は酸化型ビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)となる。酸化型ビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)はデヒドロアスコルビン酸レダクターゼの作用で還元型ビタミンC(L-アスコルビン酸)に戻る。その際、還元型グルタチオン(−SH:チオール)が酸化型グルタチオン(−S―S−:ジスルフィド)となる。