弱塩基性薬物の単純拡散による吸収とpH 98回薬剤師国家試験問166の2
98回薬剤師国家試験 問166の2
薬物の消化管吸収に関する記述の正誤を判定してみよう。
2 弱塩基性薬物の単純拡散による吸収は、一般に、溶液のpHが低い方が良好である。
2 × 弱塩基性薬物の単純拡散による吸収は、一般に、溶液のpHが低い方が良好である。
→ 〇 弱塩基性薬物の単純拡散による吸収は、一般に、溶液のpHが高い方が良好である。
物質の単純拡散における細胞膜透過について、pH分配仮説という理論がある。
この仮説は、脂溶性の高い分子形(非イオン形)は細胞膜を透過し、水溶性の高いイオン形は細胞膜を透過しないとし、物質のプロトンの解離・保持による脂溶性の変化が単純拡散による透過に大きな影響を与えるという考えである。
薬物が単純拡散により吸収され、pH分配仮説に従うとすると、
管腔内pHと吸収の関係は以下の通り。
・弱酸性薬物
pHが低いほど、分子形分率が大きくなるので、吸収は増大し、
pHが高いほど、分子形分率が小さくなるので、吸収は減少する。
・弱塩基性薬物
pHが低いほど、分子形分率が小さくなるので、吸収は減少し、
pHが高いほど、分子形分率が大きくなるので、吸収は増大する。