薬物の経皮吸収に関する記述 98回薬剤師国家試験問167
98回薬剤師国家試験 問167
薬物の経皮吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 表皮の最も外側は角質層と呼ばれ、薬物の皮膚透過のバリアーとなる。
2 汗腺や毛穴などの付属器官は有効面積が小さいので、薬物吸収への寄与は少ない。
3 経皮投与では薬物の肝初回通過効果を回避できない。
4 皮膚組織には代謝酵素が存在しないため、経皮吸収改善を目的としたプロドラッグ化は有効ではない。
5 皮膚をフィルムで密封すると角質層が水和し、薬物の皮膚透過性は低くなる。
98回薬剤師国家試験 問167 解答解説
◆ 1について
1 〇 表皮の最も外側は角質層と呼ばれ、薬物の皮膚透過のバリアーとなる。
詳細は下記のリンク先を参照
親水性薬物の経皮吸収における最大の障壁 103回問42
◆ 2について
2 〇 汗腺や毛穴などの付属器官は有効面積が小さいので、薬物吸収への寄与は少ない。
薬物が経皮吸収される経路として、毛嚢や皮脂腺・汗腺などの付属器官から吸収される経路(付属器官経路)もある。
ただし、これら付属器官は有効面積が小さいため、薬物の経皮吸収における付属器官経路の寄与は小さい。
◆ 3について
3 × 経皮投与では薬物の肝初回通過効果を回避できない。
→ 〇 経皮投与では薬物の肝初回通過効果を回避できる。
経皮投与では、皮膚の血管から吸収された薬物は門脈・肝臓を通らず全身循環血に移行するので、
肝初回通過効果を受けない。
◆ 4について
4 × 皮膚組織には代謝酵素が存在しないため、経皮吸収改善を目的としたプロドラッグ化は有効ではない。
皮膚にはエステラーゼなどの代謝酵素が存在するので、
経皮吸収改善の方法としてプロドラッグ化は有効である。
◆ 5について
5 × 皮膚をフィルムで密封すると角質層が水和し、薬物の皮膚透過性は低くなる。
皮膚をフィルムで密封すると、皮膚からの水分の蒸散が抑えられ、角質層が水和し、薬物の皮膚透過性は高まる。
この原理を利用し、皮膚に薬剤を塗布した後、ラップなどで覆って密封することで、薬物の経皮吸収を増加させる方法を密封療法(occlusive dressing therapy:ODT)と呼ぶ。
一方、皮膚の水分量が少なくなると、薬物の皮膚透過性は低くなる。
★ 他サイトさんの解説リンク
98回問167(e-RECさん)