テトラサイクリン,牛乳,EDTAの相互作用 95回薬剤師国家試験問153

95回薬剤師国家試験 問153

 

図はテトラサイクリン500mgを以下の条件でヒトに経口投与した際の尿中累積排泄量の時間推移を示す。

 

テトラサイクリン,牛乳,EDTAの相互作用 95回薬剤師国家試験問153

 

テトラサイクリンの消化管吸収及び体内動態に関する記述のうち、正しいものはどれか。
2つ選びなさい。
1 牛乳で服用することによりテトラサイクリンの腎クリアランスが低下する。
2 EDTA はテトラサイクリンの消化管吸収にほとんど影響しない。
3 牛乳はテトラサイクリンの消化管吸収を阻害する。
4 EDTA は牛乳の存在下で消化管粘膜の透過性を高める。

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95回薬剤師国家試験 問153 解答解説

 

消化管から吸収されたテトラサイクリンのみ腎臓から尿中に排泄されるので、
尿中排泄量から吸収性を読み取ることができる。

 

◆ 1,3について

 

テトラサイクリン,牛乳,EDTAの相互作用 95回薬剤師国家試験問153

 

1 × 牛乳で服用することによりテトラサイクリンの腎クリアランスが低下する。

 

3 〇 牛乳はテトラサイクリンの消化管吸収を阻害する。

 

テトラサイクリンを牛乳で服用した場合(●のグラフ)は、
テトラサイクリンを水で服用した場合(〇のグラフ)に比べ、
テトラサイクリンの尿中累積排泄量は低い。

 

これは、テトラサイクリンが牛乳に含まれるCa2+と難溶性のキレートを形成し、
テトラサイクリンの消化管吸収が低下したことによると考えられる。

 

このように、テトラサイクリン系抗生物質は、2価,3価の金属イオンと難溶性のキレートを形成し、
吸収が低下することが知られている。
そのため、テトラサイクリン系抗生物質の服用と、カルシウム,マグネシウム,アルミニウム,鉄,ランタンなどの金属を含む薬物や食物の摂取は、2時間以上あける。

 

 

◆ 2について

 

テトラサイクリン,牛乳,EDTAの相互作用 95回薬剤師国家試験問153

 

2 〇 EDTA はテトラサイクリンの消化管吸収にほとんど影響しない。

 

テトラサイクリンを EDTA とともに水で服用したグラフ(▲)と、
テトラサイクリンを水で服用したグラフ(〇)の尿中累積排泄量の推移はほとんど同じであるので、
EDTA はテトラサイクリンの消化管吸収にほとんど影響しないと考えられる。

 

 

◆ 3について
4 × EDTA は牛乳の存在下で消化管粘膜の透過性を高める。

 

テトラサイクリンを EDTA とともに牛乳で服用した場合(■のグラフ)は、
テトラサイクリンを牛乳で服用した場合(●のグラフ)に比べ、
テトラサイクリンの尿中累積排泄量は高い。

 

これは、EDTA が牛乳中のCa2+とキレートを形成し、
テトラサイクリンとCa2+との難溶性キレートの形成を阻害したことによると考えられる。

 

テトラサイクリンを EDTA とともに水で服用したグラフ(▲)と、
テトラサイクリンを EDTA とともに牛乳で服用したグラフ(■)の尿中累積排泄量の推移はほとんど同じであるため、EDTA は牛乳の存在下で消化管粘膜の透過性を高めるとは考えられない。

 

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