ビスホスホネート製剤の服薬指導と相互作用 100回薬剤師国家試験問266-267

100回薬剤師国家試験 問266−267
65歳女性。老年内科を受診、骨粗しょう症と診断され、下記の処方が出された。

 

100回薬剤師国家試験問266-267 ビスホスホネート製剤の服薬指導と相互作用

 

問266(実務)
薬剤師が行う服薬指導の内容として適切なのはどれか。2つ選びなさい。
1 180mL 程度の十分な量の水と一緒に服用するよう指導した。
2 噛んだり、口中で溶かしたりせずに服用するよう指導した。
3 起床後、食事を摂ってから服用するよう指導した。
4 服用を忘れた場合には、気がついたときにすぐ服用するよう指導した。

 

問267(薬剤)
この患者は、日常的に牛乳を飲用していることがわかった。リセドロン酸Na錠の牛乳による服用についての記述のうち、正しいのはどれか。1つ選びなさい。
1 牛乳中の油脂成分によりリセドロン酸の溶解が促進され、良好に吸収される。
2 牛乳中の油脂成分により胃粘膜が保護されるので、服用後、すぐに横になって良い。
3 リセドロン酸は、牛乳中のカルシウムイオンとキレートを形成するので、吸収が低下する。
4 カルシウム補給のためにも、牛乳での服用が推奨されている。
5 リセドロン酸は、牛乳中の成分とは特に相互作用しないので、水で服用した場合と比べて、吸収に違いは認められない。

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100回薬剤師国家試験 問266 解答解説

 

100回薬剤師国家試験問266-267 ビスホスホネート製剤の服薬指導と相互作用

 

リセドロン酸Na錠(ベネット)は、
ビスホスホネート製剤である。

 

◆ 1,2について
1 〇 180mL 程度の十分な量の水と一緒に服用するよう指導した。

 

2 〇 噛んだり、口中で溶かしたりせずに服用するよう指導した。

 

ビスホスホネート製剤は、起床時に十分量(約180mL)の水とともに服用し、
服用後少なくとも30分は横にならず、水以外の飲食並びに他の薬剤の経口摂取も避ける。

 

ビスホスホネート製剤は粘膜刺激性があり、食道炎や食道潰瘍、口腔咽頭部の潰瘍を起こす可能性があるので、服用後は速やかに胃内へと到達させることが重要である。
よって、ビスホスホネート製剤は、起床時に立位あるいは坐位で、十分量(約180mL)の水とともに服用し、服用後30分は横たわらない。
口腔咽頭刺激の可能性があるので噛んだり、なめたりせずに服用する。

 

 

◆ 3について
3 × 起床後、食事を摂ってから服用するよう指導した。

 

ビスホスホネートはカルシウムイオン(Ca2+)等の金属の多価陽イオンと錯体を形成し、
これによりビスホスホネートの吸収が低下する。

 

そのため、ビスホスホネート製剤の添付文書の用法の項に下記の記述がある。
「ビスホスホネート製剤を水以外の飲料(Ca、Mg等の含量の特に高いミネラルウォーターを含む)や食物あるいは他の薬剤と同時に服用すると、本剤の吸収を妨げることがあるので、起床後、最初の飲食前に服用し、かつ服用後少なくとも30分は水以外の飲食を避ける。」

 

 

◆ 4について
4 × 服用を忘れた場合には、気がついたときにすぐ服用するよう指導した。

 

服用を忘れた場合に、気がついたときにすぐ服用すると、それまでに飲食した物により吸収が妨げられることがある。

 

リセンドロン酸Na錠17.5mg(ベネット錠17.5mg)は、週1回、同一曜日に服用する薬剤である。
服用を忘れた場合には、翌日の起床時に服用し、その後は決められた曜日に服用する。

 

 

100回薬剤師国家試験 問267 解答解説

 

リセドロン酸Na錠の牛乳による服用についての記述のうち、正しいのは、
選択肢3の「リセドロン酸は、牛乳中のカルシウムイオンとキレートを形成するので、吸収が低下する」である。

 

関連問題
リセンドロン酸Naの服薬指導 107回問212

 

 

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