ミノサイクリンの吸収に関する相互作用 99回薬剤師国家試験問266-267
99回薬剤師国家試験 問266−267
40歳男性。薬局で下記の成分を含有する一般用医薬品を購入した。
問266(実務)
この一般用医薬品の主な効能・効果として適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 胃酸過多、胸やけ、胃部不快感、胃痛
2 下痢、軟便
3 かぜの諸症状(のどの痛み、鼻水、鼻づまり、くしゃみなど)の緩和
4 急性鼻炎、アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎による諸症状の緩和
5 慢性便秘、常習性便秘
問267(薬剤)
この患者が近医でマイコプラズマ肺炎と診断され、薬局に処方せんを持ってきた。薬局では処方薬のミノサイクリン塩酸塩錠を調剤して、これを服用中は上記の一般用医薬品の服用を控えるように指導した。その理由として最も適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 ミノサイクリンの溶解が促進され、吸収速度が上昇する。
2 難溶性のキレートが形成され、ミノサイクリンの吸収量が減少する。
3 ミノサイクリンの胃内での分解が促進され、吸収量が減少する。
4 ミノサイクリンの消化管上皮細胞内での代謝が抑制され、吸収量が増加する。
5 胃内容排出速度が低下し、ミノサイクリンの吸収が遅延する。
99回薬剤師国家試験 問266(実務) 解答解説
この一般用医薬品の主な効能・効果として適切なのは、
選択肢1の「胃酸過多、胸やけ、胃部不快感、胃痛」である。
各成分の配合目的は下記の通り。
メチルメチオニンスルホニウムクロライド(MMSC):
胃粘液量増加、胃血流量増加等による胃粘膜修復,潰瘍抑制
酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物:
胃酸を中和する制酸成分
ロートエキス3倍散:抗コリン作用による過剰な胃酸分泌抑制,消化管の痙攣抑制
ウイキョウ末:芳香性健胃生薬
チョウジ末:芳香性健胃生薬,または,芳香辛味性健胃生薬
ショウキョウ末:芳香辛味性健胃生薬
ビオヂアスターゼ2000:糖質とタンパク質の消化を助ける消化酵素
99回薬剤師国家試験 問267(薬剤) 解答解説
ミノサイクリン塩酸塩錠の服用中、本問の胃腸薬を控える理由として最も適切なのは、
選択肢2の「難溶性のキレートが形成され、ミノサイクリンの吸収量が減少する」である。
ミノサイクリンなどのテトラサイクリン系抗生物質は、2価,3価の金属イオンと難溶性のキレートを形成し、
吸収が低下することが知られている。
本問の胃腸薬には金属が含まれるので、ミノサイクリンとの併用で、ミノサイクリンの吸収が低下する恐れがある。
テトラサイクリン系抗生物質の服用中、カルシウム,マグネシウム,アルミニウム,鉄,ランタンなどの金属を多く含む薬物や食物を摂取する場合は、
2時間以上あけるよう指導する。
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