薬物の消化管吸収とバイオアベイラビリティに関する記述 103回薬剤師国家試験問167
103回薬剤師国家試験 問167
薬物の消化管吸収とバイオアベイラビリティに関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選びなさい。
1 カルバペネム系抗生物質であるメロペネムは、小腸粘膜での透過性が高いため、経口製剤として用いられる。
2 陰イオン交換樹脂であるコレスチラミンは、酸性物質であるプラバスタチンを吸着し、その吸収を阻害する。
3 経口製剤の絶対的バイオアベイラビリティは、その製剤を経口投与した際の血中濃度時間曲線下面積(AUC)を、等量の同一薬物を静脈内投与した際のAUCで除したものに等しい。
4 小腸において、親水性薬物のみかけの吸収速度は、非撹拌水層の拡散速度に依存する。
5 小腸下部から吸収された薬物は、門脈を経ずに下大静脈に入るために、肝初回通過効果を受けない。
103回薬剤師国家試験 問167 解答解説
◆ 1について
1 × カルバペネム系抗生物質であるメロペネムは、小腸粘膜での透過性が高いため、経口製剤として用いられる。
カルバペネム系抗生物質であるメロペネムは、小腸粘膜での透過性が低いため、注射剤として用いられる。
なお、経口カルバペネム系抗生物質としては、テビペネム ピボキシル(オラペネム小児用)がある。
テビペネム ピボキシルは、C3位側鎖にチアゾリニルアゼチジン基を有し、活性本体であるテビペネムのC2位カルボン酸をピボキシル基でエステル化することにより経口吸収性を向上させたプロドラッグである。
◆ 2について
2 〇 陰イオン交換樹脂であるコレスチラミンは、酸性物質であるプラバスタチンを吸着し、その吸収を阻害する。
スタチン系薬物やワルファリンなどの酸性薬物と陰イオン交換樹脂のコレスチラミンやコレスチミドを同時服用すると、酸性薬物が陰イオン交換樹脂に吸着され、酸性薬物の糞便中への排泄が増大し、酸性薬物の吸収は低下する。
関連問題
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◆ 3について
3 〇 経口製剤の絶対的バイオアベイラビリティは、その製剤を経口投与した際の血中濃度時間曲線下面積(AUC)を、等量の同一薬物を静脈内投与した際のAUCで除したものに等しい。
絶対的バイオアベイラビリティは、静脈内投与のAUCに対する非静脈内投与のAUCであり、
経口製剤のバイオアベイラビリティは下記の@式で求められる。
◆ 4について
4 × 小腸において、親水性薬物のみかけの吸収速度は、非撹拌水層の拡散速度に依存する。
→ 〇 小腸において、親水性薬物のみかけの吸収速度は、腸管膜の透過速度に依存する。
親水性薬物の単純拡散による消化管吸収は、消化管膜の透過速度に依存する。
親油性薬物の単純拡散による消化管吸収は、消化管膜近傍の非撹拌水層の拡散速度に依存する。
◆ 5について
5 × 小腸下部から吸収された薬物は、門脈を経ずに下大静脈に入るために、肝初回通過効果を受けない。
小腸から吸収された薬物は、門脈を経て肝臓に入るため、肝初回通過効果を受ける。
なお、直腸の中・下部から吸収された薬物は、門脈を経ずに全身循環血に入るため、肝初回通過効果を受けない。
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