経口投与後の薬物吸収に対する食事の影響 92回薬剤師国家試験問157
92回薬剤師国家試験 問157
経口投与後の薬物吸収に対する食事の影響に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 高脂肪食の摂取によりグリセオフルビンの吸収は増大する。
b 食後の方が消化管の血流量が減少するため、プロプラノロールの吸収は低下する。
c 食後投与により胃内容排出速度が遅くなるため、アセトアミノフェンの吸収速度は遅延する。
d リボフラビンは脂溶性が高く、その吸収は食事の影響を受けない。
92回薬剤師国家試験 問157 解答解説
◆ aについて
a ○ 高脂肪食の摂取によりグリセオフルビンの吸収は増大する。
高脂肪食の摂取により、胆汁の分泌が促進される。
グリセオフルビンのように脂溶性が高く難溶性の薬物は、
高脂肪食を摂取した後に服用すると、胆汁中の胆汁酸により可溶化されるため、吸収量が増大する。
◆ bについて
b × 食後の方が消化管の血流量が減少するため、プロプラノロールの吸収は低下する。
→ 〇 食後の方が消化管の血流量が増大するため、プロプラノロールの吸収は増大する。
食事により消化管の血流量が増加すると、薬物の消化管吸収は増大し、
高濃度の薬物が肝臓に流入すると、肝臓での代謝が飽和する。
よって、プロプラノロール等の肝初回通過効果の大きい薬物は、
食後に投与すると、血中濃度が高くなる。
◆ cについて
c ○ 食後投与により胃内容排出速度が遅くなるため、アセトアミノフェンの吸収速度は遅延する。
アセトアミノフェンは、小腸で単純拡散により吸収される。
単純拡散により小腸で吸収される薬物を食後に投与すると、
食事により胃内容排出速度が低下するので、吸収速度が低下する。
◆ dについて
d × リボフラビンは脂溶性が高く、その吸収は食事の影響を受けない。
リボフラビン(ビタミンB2)は、脂溶性が低く、小腸の担体を介して吸収される。
食事により胃内容排出速度が低下すると、リボフラビンが少しずつ小腸に輸送され、
担体が飽和しにくくなるので、吸収量が増大する。