イコサペント酸エチルを食直後に服用する理由 104回薬剤師国家試験問268-269
104回薬剤師国家試験 問268−269
60歳男性。脂質異常症及び高血圧症の診断により、現在、処方1による薬物治療を行っている。本日、処方2が追加された。
問268(実務)
処方2を追加した主目的として最も適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 LDL−Cの低下
2 HDL−Cの上昇
3 TGの低下
4 血圧の低下
5 HbA1cの低下
問269(薬剤)
イコサペント酸エチル粒状カプセルを食直後に服用する理由として、正しいのはどれか。1つ選びなさい。
1 服薬タイミングをずらすことで、イコサペント酸エチルによるピタバスタチンの肝取り込み阻害を回避するため。
2 服薬タイミングをずらすことで、ロサルタンとイコサペント酸エチルの複合体形成を回避するため。
3 食事によって胃内容排出速度を低下させることで、イコサペント酸エチルの急激な血中濃度の上昇を避けるため。
4 食事によって胃酸分泌が亢進し、イコサペント酸エチルの溶解度が増加するため。
5 食事によって分泌された胆汁酸が、イコサペント酸エチルの可溶化を促進するため。
104回薬剤師国家試験 問268−269 解答解説
処方2を追加した主目的として最も適切なのは、
選択肢3のTGの低下である。
イコサペント酸エチル(エパデール)は、血清トリグリセリド低下作用,血清総コレステロール低下作用,抗血小板作用,動脈の伸展性保持作用を有する。
脂質異常症の診断基準は以下の通り。
・LDLコレステロール
140mg/dL以上:高LDLコレステロール血症
120〜139mg/dL:境界域高LDLコレステロール血症
・HDLコレステロール
40mg/dL未満:低HDLコレステロール血症
・トリグリセリド
空腹時採血(絶食10時間以上)で150mg/dL以上、
もしくは、
空腹時以外採血で175mg/dL以上:高トリグリセリド血症
患者のTGは220mg/dLであり、高トリグリセリド血症であるので、
イコサペント酸エチルを追加する目的はTGの低下だと考えられる。
104回薬剤師国家試験 問269(薬剤) 解答解説
イコサペント酸エチル粒状カプセルを食直後に服用する理由として、正しいのは、
選択肢5の「食事によって分泌された胆汁酸が、イコサペント酸エチルの可溶化を促進するため」である。
イコサペント酸エチルは、ω3系不飽和脂肪酸であるイコサペント酸(EPA)をエチルエステル化した製剤であり、
脂肪が含まれる食物により分泌される胆汁中の胆汁酸により可溶化され、吸収量が増大する。
よって、イコサペント酸エチル(エパデール)は食直後に服用する。
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