溶解律速,膜透過律速の薬物の吸収性改善方法 96回薬剤師国家試験問156
96回薬剤師国家試験 問156
分子量がともに約400で単純拡散により小腸粘膜を透過する弱酸性薬物A及びBがある。安定形の結晶粉末を空腹時に経口投与した際の消化管吸収において、薬物Aは溶解律速、薬物Bは膜透過律速である。それぞれの薬物の結晶粉末を経口投与する際、吸収性改善方法として正しい組合せはどれか。1つ選びなさい。
96回薬剤師国家試験 問156 解答解説
正解は4である。
本問は、単純拡散により小腸から吸収される弱酸性の低分子薬物の経口吸収改善に関する問題である。
◆ 薬物Aの吸収改善
安定形の結晶粉末を空腹時に経口投与した際の消化管吸収において、
薬物Aは溶解律速であるので、吸収改善には溶解性を改善すればよい。
溶解性の改善方法として、粉体の粒子径を小さくする、準安定形の結晶を用いる、ナトリウム塩などの塩にする、無水物を用いること等がある。
また、脂溶性薬物の場合は、脂肪が含まれる食事の後に服用すると、胆汁酸により可溶化されるため、吸収性が改善する。
◆ 薬物Bの吸収改善
安定形の結晶粉末を空腹時に経口投与した際の消化管吸収において、
薬物Bは膜透過律速であるので、吸収改善には膜透過性を改善すればよい。
膜透過性の改善方法として、脂溶性が高まるようプロドラッグ化する、吸収促進剤を添加すること等がある。