薬物の吸収に関する記述 94回薬剤師国家試験問152

94回薬剤師国家試験 問152
薬物吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 口腔内崩壊錠は、薬物を口腔粘膜から吸収させ、肝初回通過効果を回避する目的で用いられる。
2 鼻腔粘膜を介して吸収された薬物は、肝初回通過効果を受けない。
3 狭心症治療に用いられる経皮治療システムでは、主薬の皮膚透過が吸収における律速過程となっている。
4 抗生物質の坐剤に配合されているカプリン酸ナトリウムは、主薬の吸収促進を目的としている。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題 吸収 一覧へ

 

 

94回薬剤師国家試験 問152 解答解説

 

◆ 1について
1 × 口腔内崩壊錠は、薬物を口腔粘膜から吸収させ、肝初回通過効果を回避する目的で用いられる。

 

口腔内崩壊錠は、口腔内で唾液により速やかに崩壊する錠剤であり、
有効成分は主に小腸から吸収される。

 

 

◆ 2について
2 ○ 鼻腔粘膜を介して吸収された薬物は、肝初回通過効果を受けない。

 

鼻粘膜から吸収された薬物は、直接全身循環血に移行するため、
肝臓での初回通過効果を回避することができる。

 

 

◆ 3について
3 × 狭心症治療に用いられる経皮治療システムでは、主薬の皮膚透過が吸収における律速過程となっている。

 

経皮治療システムでは、主薬の皮膚透過が律速過程となる場合と、
基剤からの薬物放出が律速過程となる場合がある。

 

 

◆ 4について
4 ○ 抗生物質の坐剤に配合されているカプリン酸ナトリウムは、主薬の吸収促進を目的としている。

 

セフチゾキシムナトリウム坐剤(エポセリン坐剤)は、吸収促進剤としてカプリン酸ナトリウムを添加することにより、水溶性のセフチゾキシムナトリウムの直腸粘膜からの吸収を改善した薬剤である。
カプリン酸ナトリウムの薬物の吸収促進の機構として、細胞を収縮させて細胞間隙を広げる機構、もしくは、細胞膜の動きに乱れを生じ、物質の膜透過性を高める機構が提唱されている。

 

関連問題
吸収促進剤の添加により水溶性薬物の吸収を改善した薬剤 107回問55

トップへ戻る