医薬品を保存する容器・包装 98回薬剤師国家試験問178
98回薬剤師国家試験 問178
医薬品を保存する容器・包装に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選びなさい。
1 セロファンのフィルムは、防湿効果に優れる。
2 静脈内投与する注射剤には、プラスチック製容器を用いることはできない。
3 吸入粉末剤に用いる容器は、通例、密閉容器とする。
4 ピロー包装は、ラミネートフィルムを用いて顆粒剤などを1回服用量ごとに充てんしたものである。
5 Press through package(PTP)包装は、帯状にシール包装された形態をいう。
98回薬剤師国家試験 問178 解答解説
◆ 1について
1 × セロファンのフィルムは、防湿効果に優れる。
セロファンに防湿効果はほとんどない。
他、ポリ塩化ビニル,ポリエチレンも防湿効果は低い。
アルミ箔は、機械的強度は低いが、防湿効果は高い。
◆ 2について
2 × 静脈内投与する注射剤には、プラスチック製容器を用いることはできない。
静脈内投与する注射剤の容器として、プラスチック製の容器を使用可能な場合がある。
日本薬局方製剤総則に注射剤の容器について下記の規定がある。
「本剤の容器は,注射剤用ガラス容器試験法の規定に適合する無色のものである.ただし,別に規定する場合は,
注射剤用ガラス容器試験法の規定に適合する着色容器又はプラスチック製医薬品容器試験法の規定に適合するプラスチック製水性注射剤容器を用いることができる」
◆ 3について
3 〇 吸入粉末剤に用いる容器は、通例、密閉容器とする。
吸入粉末剤(Dry Powder Inhalers:DPI)は、
“吸入量が一定となるように調製された固体粒子のエアゾールとして吸入する製剤”と定義され、
その容器には、通例、密閉容器が用いられる。
◆ 4について
4 × ピロー包装は、ラミネートフィルムを用いて顆粒剤などを1回服用量ごとに充てんしたものである。
ピロー包装とは、防湿性を高めるために施される二次包装であり、
PTPまたはSP包装された医薬品をアルミ箔やラミネートフィルムで枕状に包装したものである。
なお、4の記述のラミネートフィルムを用いて顆粒剤などを1回服用量ごとに充てんしたものは分包品と呼ばれる。
◆ 5について
5 × Press through package(PTP)包装は、帯状にシール包装された形態をいう。
PTP(Press Through Package)包装とは、
ポリ塩化ビニルなどで成型したくぼみに錠剤やカプセル剤を入れ、
アルミ箔を加熱圧着(ヒートシール)した包装のことである。
なお、5の記述の帯状にシール包装された形態はSP(Strip Package)である。
SP(Strip Package)は、アルミ箔あるいはセロファンに低密度ポリエチレンなどの熱可塑性高分子フィルムを重ね合わせたラミネートフィルムを用い、錠剤やカプセルを2枚のフィルムではさみ、周囲を加熱圧着(ヒートシール)で閉じた包装である。
なお、PTP包装とSP包装は気密容器である。
関連問題
SP包装及びPTP包装は気密容器 96回問177c
★ 他サイトさんの解説リンク
98回問178(e-RECさん)