昇圧化学療法とは 99回薬剤師国家試験問178の4
99回薬剤師国家試験 問178の4
ターゲティングに関する記述の正誤を判定してみよう。
4 昇圧化学療法とは、抗がん薬をマイクロカプセルなどのキャリアーに封入して、腫瘍の栄養動脈に注入する治療法である。
99回薬剤師国家試験 問178の4 解答解説
4 × 昇圧化学療法とは、抗がん薬をマイクロカプセルなどのキャリアーに封入して、腫瘍の栄養動脈に注入する治療法である。
昇圧化学療法は、アンギオテンシンの併用投与により、抗がん剤の腫瘍組織への移行性を向上させる受動的ターゲティングである。
正常組織では、アンギオテンシンUを投与すると血管が収縮し、血流量が低下する。
一方、腫瘍組織では、アンギオテンシンUに対する血管収縮性に乏しい。
そのため、アンギオテンシンUを投与すると、腫瘍組織の血流が特異的に増加する。
この生体反応を利用し、腫瘍組織への抗がん剤の流入量を選択的に増大させる化学療法を、昇圧化学療法と呼ぶ。
なお、4の記述中の、「抗がん薬をマイクロカプセルなどのキャリアーに封入して、腫瘍の栄養動脈に注入する治療法」は、化学塞栓療法である。
化学塞栓療法とは、肝細胞がんを栄養している肝動脈内にカテーテルを挿入し、抗がん剤と塞栓物質を注入し、抗がん剤による攻撃と栄養の遮断により、がん細胞を死滅させる治療法である。