108回薬剤師国家試験問102 タンパク質の構造
108回薬剤師国家試験 問102
タンパク質の構造に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
下図にアミド結合間の水素結合を示す。
1 図に示した水素結合は、主に一次構造の形成に働く。
2 α−ヘリックスは、二次構造の1つである。
3 α−ヘリックスは、図に示した水素結合により2本のペプチド鎖間で形成される。
4 β−シートは、主に周囲の水分子との相互作用で形成される。
5 ジスルフィド結合は、主に三次構造を安定化する。
108回薬剤師国家試験 問102 解答解説
◆ 1について
1 × 図に示した水素結合は、主に一次構造の形成に働く。
→ 〇 図に示した水素結合は、主に二次構造の形成に働く。
図はペプチド結合のカルボニル酸素とN−Hの水素の間に形成される水素結合を示している。
この水素結合は、主にタンパク質の二次構造の形成に働く。
なお、タンパク質の二次構造として、α−ヘリックス、β−シート、ランダムコイル(ループ構造)がある。
◆ 2,3について
2 〇 α−ヘリックスは、二次構造の1つである。
3 × α−ヘリックスは、図に示した水素結合により2本のペプチド鎖間で形成される。
→ 〇 α−ヘリックスは、図に示した水素結合により1本のペプチド鎖内で形成される。
α−ヘリックスは、1本のペプチド鎖内において、ペプチド結合のN−Hの水素と4残基離れたペプチド結合のカルボニル酸素との間に働く水素結合により形成されるらせん構造である。
関連問題
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◆ 4について
4 × β−シートは、主に周囲の水分子との相互作用で形成される。
β−シートは、複数のペプチド鎖間において、ペプチド結合のN−Hの水素とカルボニル酸素との間に働く水素結合により形成されるプリーツシート構造である。
また、1本のペプチド鎖が折れ曲がることにより重なり、同一のペプチド鎖内でβ−シートを形成することもある。
◆ 5について
5 〇 ジスルフィド結合は、主に三次構造を安定化する。
タンパク質の三次構造とは、タンパク質全体の折りたたみ構造である。
タンパク質の三次構造を形成する主な要因として,水素結合,イオン結合,ファンデルワールス相互作用,疎水性相互作用,ジスルフィド結合が挙げられる。
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