タンパク質中のペプチド結合 103回薬剤師国家試験問94
103回薬剤師国家試験 問94
図はタンパク質中のペプチド結合を表したものである。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 ペプチド結合を構成するC=OとN−H、これらに隣接する2つのα炭素は同一平面上にある。
2 αヘリックス構造では、n番目のペプチド結合を構成するC=Oが、(n+3)番目のペプチド結合を構成するN−Hと水素結合を形成している。
3 αヘリックスやβシートなどの二次構造は、円偏光二色性測定法により観測できる。
4 βシート構造の形成には、C=OとN−Hの間の水素結合は寄与しない。
5 同一のα炭素に結合するCα−N結合とCα−C結合の回転の角度(φ、ψ)は、それぞれ任意の角度をとることができる。
103回薬剤師国家試験 問94 解答解説
◆ 1について
1 〇 ペプチド結合を構成するC=OとN−H、これらに隣接する2つのα炭素は同一平面上にある。
アミドの窒素原子の非共有電子対は共鳴によりカルボニルとの間で非局在化するので、
アミドのC−N結合は下記のように部分的に二重結合性を帯びる。
これにより、ペプチド結合のC−N周りの回転は制限されるので、
C=OとN−H、これらに隣接する2つのα炭素は同一平面上に存在することになる。
◆ 2について
2 × αヘリックス構造では、n番目のペプチド結合を構成するC=Oが、(n+3)番目のペプチド結合を構成するN−Hと水素結合を形成している。
→ 〇 αヘリックス構造では、n番目のペプチド結合を構成するC=Oが、(n+4)番目のペプチド結合を構成するN−Hと水素結合を形成している。
α−ヘリックスは、1本のペプチド鎖内において、ペプチド結合のN−Hの水素と4残基離れたペプチド結合のカルボニル酸素との間の水素結合により形成されるらせん構造である。
◆ 3について
3 〇 αヘリックスやβシートなどの二次構造は、円偏光二色性測定法により観測できる。
円偏光二色性(circular dichroism:CD)のスペクトルから、
タンパク質や核酸の二次構造や光学活性物質の絶対配置など、
立体構造の情報が得られる。
関連問題
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◆ 4について
4 × βシート構造の形成には、C=OとN−Hの間の水素結合は寄与しない。
→ 〇 βシート構造の形成には、C=OとN−Hの間の水素結合が寄与する。
β−シートは、複数のペプチド鎖間において、ペプチド結合のN−Hの水素とカルボニル酸素との間の水素結合により形成されるプリーツシート構造である。
また、1本のペプチド鎖が折れ曲がることにより重なり、同一のペプチド鎖内でβ−シートを形成することもある。
◆ 5について
5 × 同一のα炭素に結合するCα−N結合とCα−C結合の回転の角度(φ、ψ)は、それぞれ任意の角度をとることができる。
α炭素に結合するCα−N結合とCα−C結合は自由回転が可能だが、プロリン残基は環状であるため回転が制限される。
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