薬剤師国家試験過去問題集 医薬品の添加剤

87回薬剤師国家試験問175 注射剤に関する記述の正誤

87回薬剤師国家試験 問175
注射剤に関する記述の正誤について,正しいものはどれか。
a 着色することを目的として,メチレンブルーが用いられる。
b 安定化のために用いられるキレート剤は,酸化の触媒となる重金属イオンを不活性化する。
c クロロブタノールは,注射剤の防腐と局所疼痛除去に用いられる。
d パラオキシ安息香酸エチルは,輸液の保存剤として用いられる。

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87回薬剤師国家試験 問175 解答解説

 

◆ aについて
a × 着色することを目的として,メチレンブルーが用いられる。

 

注射剤や点眼剤には、別に規定するもののほか、着色のみを目的とする物質を添加剤として使用できない。

 

 

◆ bについて
b 〇 安定化のために用いられるキレート剤は,酸化の触媒となる重金属イオンを不活性化する。

 

医薬品の物理的変化や化学的変化を防止する添加剤を安定化剤といい、
安定化剤の1つとして酸化防止剤がある。
酸化防止剤としてのキレート剤は、酸化反応を触媒する重金属イオンを捕捉して不活化する物質であり、
主なものとしてエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(エデト酸ナトリウム:EDTA)がある。

 

関連問題
酸化防止剤 101回問51

 

 

◆ cについて
c 〇 クロロブタノールは,注射剤の防腐と局所疼痛除去に用いられる。

 

クロロブタノールは、微生物の発育を抑える作用があるため保存剤(防腐剤)として用いられるが、
局所麻酔作用による注射部位の疼痛緩和効果もあるため、無痛化剤としても使用される。

 

 

◆ dについて
d × パラオキシ安息香酸エチルは,輸液の保存剤として用いられる。

 

輸液などの多量に注射する製剤には,通常,保存剤を加えない。

 

パラオキシ安息香酸エステル類(p-hydroxybenzoate)はパラベンと呼ばれ、
細菌や真菌などの微生物の発育を抑える作用があるため、
保存剤(防腐剤)として塗り薬,点眼剤,注射剤などに添加される。
しかし、輸液などの多量に注射する製剤には,通常,保存剤を加えない。

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