赤外吸収スペクトル カルボン酸誘導体の吸収波数の違い 83回問9イ
第83回薬剤師国家試験 問9イ
benzoic acid誘導体 a 〜 d に関する下記の記述イの正誤を判定してみよう。
イ 赤外吸収スペクトルのC=Oの伸縮振動の吸収は、aの方がbよりも高波数側にある。
第83回薬剤師国家試験 問9イ 解答解説
イ 〇 赤外吸収スペクトルのC=Oの伸縮振動の吸収は、
a(エステル)の方がb(アミド)よりも高波数側にある。
カルボン酸誘導体(R-CO-L)のC=O伸縮振動と赤外分光スペクトルの関係について、
カルボニル(C=O)と脱離基(L)の共鳴の度合いが大きく、
カルボニル(C=O)の二重結合性が弱まるほど、
C=Oの伸縮振動は低波数側に観測される。
アミドはエステルよりも共鳴安定化の度合いが高いので、
赤外吸収スペクトルにおいて、
アミドのC=O伸縮振動の方がエステルのC=O伸縮振動よりも低波数側に観測される。
カルボン酸誘導体のC=O伸縮振動の波数(cm-1)は下記の通り。
酸塩化物:1815〜1770
酸無水物:1850〜1800,1790〜1740
エステル:1750〜1735
アミド:1690〜1630
赤外吸収の波数の高い方から
酸塩化物>酸無水物>エステル>アミド
と並ぶが、
この序列はカルボン酸誘導体の求核アシル置換反応の反応性の高さの序列と同じ並びである。