赤外吸収スペクトル法に関する問題 101回薬剤師国家試験問203
101回薬剤師国家試験 問203
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染診断には尿素呼気試験法が用いられる。
この方法は、13Cで標識した尿素を服用し、ピロリ菌が持つウレアーゼ活性で生じる呼気中の二酸化炭素を赤外吸収スペクトル法で検出するものである。
これに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 赤外線は紫外線よりも短波長である。
2 赤外線は分子振動によって双極子モーメントが変化するときに吸収される。
3 赤外吸収スペクトル法では、紫外可視吸光度法とは異なり、ランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則が成立しない。
4 13CO2の逆対称伸縮振動は12CO2と比べ低い波数側に検出される。
5 12CO2の測定には2350cm-1付近の吸収が用いられ、これは指紋領域に含まれる。
101回薬剤師国家試験 問203 解答解説
◆ 1について
1 × 赤外線は紫外線よりも短波長である。
→ 〇 赤外線は紫外線よりも長波長である。
紫外線:波長200nm〜400nm
赤外線:
波長2.5μm〜25μm
波数4000cm-1〜400cm-1
詳細は下記のリンク先を参照
電磁波の波長・波数と対応する分析法 91回問25
◆ 2について
2 〇 赤外線は分子振動によって双極子モーメントが変化するときに吸収される。
詳細は下記のリンク先を参照
赤外吸収と分子振動による双極子モーメント変化 101回問203の2
◆ 3について
3 × 赤外吸収スペクトル法では、紫外可視吸光度法とは異なり、ランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則が成立しない。
→ 〇 赤外吸収スペクトル法では、紫外可視吸光度法と同様に、ランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則が成立する。
ランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則とは、
吸光度は試料の濃度とセルの層長に比例するという法則であり、
赤外線でも成立するため、赤外吸収スペクトル法は定量分析も可能である。
◆ 4について
4 〇 13CO2の逆対称伸縮振動は12CO2と比べ低い波数側に検出される。
詳細は下記のリンク先を参照
101回問203の4
◆ 5について
5 × 12CO2の測定には2350cm-1付近の吸収が用いられ、これは指紋領域に含まれる。
→ 〇 12CO2の測定には2350cm-1付近の吸収が用いられ、これは特性吸収帯に含まれる。
詳細は下記のリンク先を参照
指紋領域と特性吸収帯
★他サイトさんの解説へのリンク
第101回問202,203(e-RECさん)