指紋領域と特性吸収帯とは 赤外吸収(IR)スペクトル測定法
本ページでは、赤外吸収(IR)スペクトル測定法における指紋領域と特性吸収帯について説明しています。
OHやC=Oなどの官能基に特有な振動をグループ振動(特性振動)と呼び、
その赤外吸収を特性吸収と呼ぶ。
一般に、官能基に特徴的な特性吸収は1500cm-1以上の波数領域に観測される。
例えば、
O−Hの伸縮振動は3600〜3200cm−1のピークとして観測され、
カルボニル(C=O)の伸縮振動は
1800〜1650cm−1付近のピークとして観測される。
一方、1500cm-1以下の波数領域は指紋領域と呼ばれる。
C−C,C−O,C−Nのように同じような質量を持つ原子による単結合の振動は互いに影響し合っている。
これらの結合の伸縮振動や変角振動は、
1500cm-1以下の波数領域に個々の分子に固有なスペクトルパターンを示す。
そのため、1500cm-1以下の波数領域を指紋領域と呼ぶ。