電解質溶液の導電率 94回薬剤師国家試験問20

94回薬剤師国家試験 問20
電解質溶液の導電率に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

a KClのモル導電率は、濃度に対して直線的に減少する。

 

b KClの極限モル導電率は、構成イオンの極限モル導電率の差で表される。

 

c KClのモル導電率がLiClのモル導電率より大きいのは、Li+がK+より強く水和しているため、Li+の移動が抑えられているからである。

 

d H+の極限モル導電率は、金属イオンの極限モル導電率より大きい。

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94回薬剤師国家試験 問20 解答解説

 

◆ aについて
a × KClのモル導電率は、濃度に対して直線的に減少する。
→ 〇 KClのモル導電率は、濃度の平方根対して直線的に減少する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
強電解質のモル伝導率と濃度の関係 96回問20ab

 

 

◆ bについて
b × KClの極限モル導電率は、構成イオンの極限モル導電率の差で表される。
→ 〇 KClの極限モル導電率は、構成イオンの極限モル導電率の和で表される。

 

電解質の極限モル伝導率(Λ0)は、
陽イオンと陰イオンの極限モル伝導率の和で表される。
これをコールラウシュのイオン独立移動の法則と呼ぶ。

 

Λ0 = λ0 + λ0
λ0:陽イオンの極限モル伝導率 λ0:陰イオンの極限モル伝導率

 

関連問題
電気伝導性 無限希釈ではイオン独立移動の法則が成立 87回問19b

 

 

◆ cについて
c 〇 KClのモル導電率がLiClのモル導電率より大きいのは、Li+がK+より強く水和しているため、Li+の移動が抑えられているからである。

 

詳細は下記のリンク先を参照
極限モル伝導率と水和イオン半径 101回問94の5

 

 

◆ dについて
d 〇 H+の極限モル導電率は、金属イオンの極限モル導電率より大きい。

 

H+とOH−の極限モル伝導率は極めて高い値を示す。
この理由は、水素結合の生成と切断を介してこれらのイオンの移動が起こるためと考えられている。

 

関連問題
H+とOH−のモル伝導率が非常に大きい理由 87回問19d

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