芳香族求電子置換反応 ハロゲン化 反応機構 85回薬剤師国家試験問10の2,5

第85回薬剤師国家試験 問10
ベンゼンに対し、次の条件下で反応を試みたとき、通常、反応を起こすかどうか判定してみよう。

 

2 CCl4中、室温でBr2と反応させる。

 

5 CH2Cl2中でFeBr3触媒下、Br2と反応させる。

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薬剤師国家試験過去問題集 化学 芳香族化合物

 

第85回薬剤師国家試験 問10の2,5 解答解説

 

◆ 2,5について

 

2 × ベンゼンをCCl4中、室温でBr2と反応させる。

 

5 〇 ベンゼンをCH2Cl2中でFeBr3触媒下、Br2と反応させる。

 

2および5の操作は、どちらも芳香族求電子置換反応のハロゲン化を試みている。

 

芳香族求電子置換反応のハロゲン化は次のように進む。
ハロゲン分子(X2)にAlX3やFeX3などのルイス酸を反応させると、
ハロゲンがルイス塩基となりルイス酸の空軌道を持つ原子に電子対を供与反応し、
ハロゲニウムイオン(X+)が生成する。
次に、芳香環に対して求電子試薬としてハロゲニウムイオン(X+)が反応し、
芳香環において水素とハロゲンが置換する求電子置換反応が進行する。

 

 

5 〇 ベンゼンをCH2Cl2中でFeBr3触媒下、Br2と反応させる。

 

5の反応ではFeBr3がルイス酸触媒としてBr2と反応し、
ブロモニウムイオン(Br+)を生成し、
Br+がベンゼンに対して求電子試薬として反応し、
結果、ベンゼンにおいて水素とBrが置換したものが生成する。

 

芳香族求電子置換反応 ハロゲン化 反応機構 85回問10の2,5

 

 

2 × ベンゼンをCCl4中、室温でBr2と反応させる。

 

2の条件はルイス酸が存在しないため反応が進行しないと考えられる。
芳香族求電子置換反応のハロゲン化では、
通常、ハロゲンの反応性を高めるためルイス酸が必要である。

 

ただし、芳香環に電子供与性電子効果を与える官能基が置換することにより、
芳香環の電子密度が高まり求電子試薬との反応性が高まっている場合は、
ルイス酸なしでもハロゲン化が進むことがある。

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