フェノール性OHとカルボキシ基の求核性 無水酢酸とサリチル酸の反応 92回薬剤師国家試験問10a

第92回薬剤師国家試験 問10a
無水酢酸を試薬に用いる反応Iに関する記述の正誤を判定してみよう。

 

フェノール性OHとカルボキシの求核性 無水酢酸とサリチル酸反応 92回問10a

 

a 反応Tの主生成物はAである。

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第92回薬剤師国家試験 問10a 解答解説

 

フェノール性OHとカルボキシの求核性 無水酢酸とサリチル酸反応 92回問10a

 

a ○ 反応Tの主生成物はAである。

 

カルボン酸・カルボン酸誘導体(R-CO-L)と求核試薬(Nu)との反応として一般に起こりやすいのは求核アシル置換反応であり、結果として、
脱離基(L)がNuに置換したもの(R-CO-Nu)と
脱離基のアニオン(L−)が生成する。

 

カルボン酸・カルボン酸誘導体を基質とする求核アシル置換反応については下記のリンク先を参照
カルボン酸・カルボン酸誘導体の求核アシル置換反応の概要

 

フェノールのOHの方がカルボキシ基のOHよりも求核性が高いため、
無水酢酸に対して主にサリチル酸のフェノール性OHが求核攻撃し、
求核アシル置換反応の結果、
エステルであるAのアセチルサリチル酸(アスピリン)が生成する。

 

フェノール性OHとカルボキシの求核性 無水酢酸とサリチル酸反応 92回問10a

 

また、生成物のカルボン酸誘導体の安定性の観点から、AはエステルでBは酸無水物であるが、エステルの方が酸無水物よりも安定性が高いため、エステルのAが主生成物になるとも考えられる。

 

フェノール性OHとカルボキシの求核性 無水酢酸とサリチル酸反応 92回問10a

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