Scatchardプロットとタンパク結合の競合阻害 102回薬剤師国家試験問166
102回薬剤師国家試験 問166
ある薬物のアルブミンへの結合定数は10(μmol/L)−1、結合部位数は2である。この薬物のアルブミン結合に関するScatchardプロットを実線で表し、結合が競合的に阻害された場合を点線で表すとき、正しい図はどれか。1つ選びなさい。ただし、図中のrはアルブミン1分子あたりに結合している薬物の分子数を、[Df](μmol/L)は非結合形薬物濃度を示す。
102回薬剤師国家試験 問166 解答解説
正解は6である。
薬物とタンパク質との結合について、
下記のScatchard式がある。
Scatchard式より、
縦軸にr/[Df]、
横軸にrをプロットして得られる直線(Scatchardプロット)について、
縦軸切片はn・K、横軸切片はn、傾きは−Kに等しい。
本問の薬物のアルブミンへの結合定数は10(μmol/L)−1、結合部位数は2である。
よって、図の実線の縦軸切片と横軸切片は下記の通りになる。
縦軸切片:n・K = 2・10(μmol/L)−1 = 20(μmol/L)−1
横軸切片:n= 2
本問の薬物のアルブミン結合が競合的に阻害された場合、
結合定数(K)は低下し、結合部位数(n)は変化しない。
そのため、図の点線は、実線に比べ、
傾き(−K)は緩くなり、縦軸切片(n・K)は低下し、
横軸切片(n)は変化しない。
以上より、正解は6の図だと考えられる。
なお、薬物のタンパク結合が非競合的に阻害される場合は、
タンパク質の構造が変化することにより、
結合部位数(n)は減少するが、結合定数(K)は変化しない。
そのため、図の点線は、実線に比べ、
傾き(−K)は変化しないが、縦軸切片(n・K)は低下し、
横軸切片(n)は低下する。
よって、図4の点線は、結合が非競合的に阻害された場合を示すと考えられる。
関連問題
タンパク結合のラングミュアプロットとスキャッチャードプロット 89回問152
★ 他サイトさんの解説リンク
102回問166(e-RECさん)